依存性人格障害と併発しやすい「共依存」と「恋愛依存」とは?

2018/2/20

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

依存性人格障害とは、人格障害(パーソナリティ障害)の一種であり、自己評価が低く常に無力感を感じていて、親や恋人などの他者に強く依存してしまう状態のことです。この記事では依存性人格障害に併発しやすいとされる共依存と恋愛依存について解説していきます。

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依存性人格障害とは?

「依存性人格障害(依存性パーソナリティ障害)」とは、自己の無力感と他者への依存を特徴とする障害です。常に人から護られていたい、認められていたいという過剰な欲求があり、誰かに依存し自分の人生の責任から逃れようとします。圧倒的に女性に多く、1人では生きていけないという「見捨てられ不安」から自己を主張することなく相手に従順に振る舞い、世話や愛情を引き出そうとします。無力で弱い自分を演じ、相手を依存関係に引き込もうとする場合もあります。関係が壊れると極端に精神バランスを崩し、抑うつ状態に陥りやすく他の人格障害につながることもあります。

依存性人格障害にはどんなタイプがあるの?

依存性人格障害は受動型、能動型、中間型の3つに分けられます。

受動型は、自立心や生活力がなく大人になっても小さな子供のような感覚で周囲の人の保護を強く求めるタイプです。相手の顔色をうかがい甘えて、横暴な態度にも耐えるしかないと思い込んでいます。能動型は、活動的で社会性や生活力を持っていますが、自己評価が極端に低く一人では不安で生きていけないと思い込んでいるタイプです。卑屈になりがちで周囲に同調しやすく、マイナスな関係でも断つことができません。中間型はこれらの中間で、最近特に増えているといわれています。普段はそれなりの生活を保っていますが、極度に周囲に同調し本来の自分が見えなくなって不安定な心理や虚しさを常に抱えます。

依存性人格障害と併発しやすい病気①:共依存について

「共依存」とは共に依存し合うことで成り立つ関係のことで、尽くすことに生きがいを感じる「犠牲を払う人」と尽くされることで満足感を得る「要求の強い人」とで構築された関係性のことです。
要求は際限なく続き応えられればさらに増長します。支配と服従という関係のなかで尽くす側の負担は増え、ストレスを抱えうつ状態や無気力、集中力欠如、過食、パニック、偏頭痛など心身の不良を起こしますが、本人には原因が理解できません。また尽くされる側では共依存が強くなり人生を崩壊させてしまう可能性があります。母と子、夫婦、恋人などにみられ、特に子供の場合では深刻な精神的影響を受けることがあります。

依存性人格障害と併発しやすい病気②:恋愛依存について

「恋愛依存」とは、恋愛対象者がいなければ心の安定が保てない状態のことです。自分に対する自信のなさから相手に合わせ好かれるために何でもするようになり、楽しさより苦しみを多く持ちますが、常に恋愛対象を求めます。恋愛をすると相手の事が気掛かりで集中力が散漫になり、他の事が手に着かなくなります。
「見捨てられるかも」「裏切られたくない」という不安がつきまとい、嫉妬深くなり相手を束縛し、相手との適度な距離が保てなくなって関係が壊れるということを繰り返します。恋愛依存は、幼少期に両親から受けるべき愛情が十分でなかったことが根本原因と考えられています。

おわりに:自分でも気づけない「依存」。苦痛を感じているときは専門家に相談しましょう

依存性人格障害は、自分で気づきにくく他人からも見えにくいものです。しかし自覚できないままでいると苦しみが続き、心身への影響や子供などへの連鎖は無視できないものとなります。苦痛を感じているようであれば、専門家に相談しましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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