子供の食事:小児肥満が増えている原因を知ろう

2018/1/16

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

近年、子供の肥満が増えているといわれています。この記事では小児肥満が増加している原因について解説しています。子供の肥満は大人になってからも続きやすいといわれています。将来の成人病リスクを下げるためにも参考にしてください。

小児肥満が近年増えている理由は?

日本肥満学会の基準によれば、男児は成人と同じく体脂肪率25%以上を肥満と定義します。女児は11歳未満で30%以上、11歳以上で体脂肪率35%以上を肥満とします。

この基準に沿うと、子供たち全体の5~12%が肥満の状態となっており、男児では11歳、女児では12歳に小児肥満のピークが生じています。
昭和期と比べると小児肥満児の割合は2~3倍にも増加し、肥満児のうち9割以上が病気が原因でなく、カロリーの摂取過剰による「単純性肥満」によって引き起こされているといわれています。

小児肥満が近年増えている点につき、次のような理由が考えられるでしょう。

・スマートフォンやテレビゲームが普及し、放課後も学習塾通いをする子供が増え、慢性的な運動不足になりやすいこと
・スーパーやコンビニなどで、いつでも手軽にカロリーの高いスナック菓子やジュースなどを買えるようになったこと
・室内の娯楽が増えたことで夜ふかしが多くなり、子供たちが夜食を摂ることも珍しくなくなったこと

小児肥満の問題点はどんなこと?

小児肥満の子供は、走ったり跳躍したりする体育の授業が苦手になりがちで、チームプレイが必要な競技で萎縮しがちですし、股ずれや月経異常、関節障害なども起こしやすくなり、自尊心も低下しやすくなります。

大人になれば、太っていることも個性のひとつとして処理できますが、子供のうちは「みんなと違う子供」を排除する言動を取ることも少なくないでしょう。そのため、小児肥満はいじめのきっかけになりかねません。もちろん、いじめる子供が悪いのですが、単純性肥満であれば、痩せることでいじめを回避することも十分可能といえるでしょう。

また、小児肥満の子供は、高い割合で大人になっても肥満体であり続けます。つまり小児肥満は生活習慣病の予備軍ともいえるかもしれません。長い間続けてきた太りやすい生活習慣を、大人になって改善させるのは難しいため、子供のうちから改善させておくことが重要となります。

小児肥満の治療法について

肥満の治療法といっても、多くの場合は特別な治療を必要としません。基本的には日常生活のリズムを見直し、ダイエットを励行することになります。

<生活習慣の改善>
早寝早起きを習慣づけて、夜更かしを避けましょう。また、テレビゲームやスマートフォンなどの使用時間を決めて、ダラダラと使い続けないようにします。

<食習慣の改善>
炭水化物や糖分の多いスナック菓子やジュースを摂りすぎないように注意し、夜食を摂らず、1日3食をしっかり摂ること(特に寝坊して朝食を抜かないこと)を心がけましょう。

<運動療法>
いきなりスポーツ教室に通ったりして、激しい運動を始めても続かないので、家庭内やその周辺でできるストレッチ、ウォーキング、筋トレ、縄跳びなどから始めます。できれば、家族みんなで運動習慣を身につけると、続きやすくなるでしょう。

<薬物療法>
もし、糖尿病や脂質異常症などを併発しているようなら、その治療薬の服用も並行して行います。

おわりに:成人病リスクを下げるためにも、子供のうちから生活習慣を整えよう

小児肥満は、一種の社会問題といえます。小児肥満の子供は大人になっても肥満であり続けることが多く、大人になっての肥満は生活習慣病のリスクを高め、社会的には医療費の高騰に繋がりかねません。子供のうちから肥満を改善させておくと、目標達成の成功体験で自信が付いて、人生も好転していくきっかけになることが期待できます。子供のうちから健康的な生活習慣を過ごせるように工夫していきましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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