パーキンソン病の症状「姿勢反射障害」に対するリハビリ:運動療法

2018/2/20

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

パーキンソン病とは、脳の異常によって運動機能に支障が起こる病気です。主な症状のひとつに姿勢反射障害がありますが、この障害を治療することはできるのでしょうか。パーキンソン病の四大徴候のひとつ姿勢反射障害のリハビリ(運動療法)について解説していきます。

姿勢反射障害とは?

姿勢反射障害とは、パーキンソン病の「四大徴候」と呼ばれる主要な症状のひとつです。

パーキンソン病の四大徴候とは、以下の通りです。
・動作が非常にゆっくりになったり、身体がまったく動かなかったりする「寡動・無動」
・何もしていないとき、自然に指が震えたり、指先で何かを丸めるようなしぐさをしてしまう「安静時振戦(あんせいじしんせん)」
・関節が固くなり、介助者が手足を動かすサポートをすると、ぎこちなく動く「筋固縮」
・直立時に身体のバランスを崩しやすく、歩行が難しくなる「姿勢反射障害」

このうち、姿勢反射障害は、起立したとき、上半身が前かがみに傾き、ひじ・ひざも軽く曲がる姿勢になることを指します。

パーキンソン病の重症度を5段階に分類した「ホーン・ヤールの分類」によれば、姿勢反射障害が現れるとステージ3とされているため、比較的進行したパーキンソン病患者に診られる症状といえます。

パーキンソン病のリハビリの目的

パーキンソン病の姿勢反射障害によって生じる特徴的な前屈姿勢のせいで、日常生活に様々な支障が生じてきます。起床時に布団から起き上がることが難しくなり、着替え、歯磨き、食事、入浴などで他人の介助が必要になる場合があります。歩行時には転びやすくなり、就寝中にも寝返りを打つのが難しくなるため睡眠が浅くなる傾向があります。

しかし、日常生活の中で介助を受ける機会が増えてくると自力でできることが少なくなり、自分の行動が縛られているような感覚を覚えてしまうことがあります。そのような状態に陥ると、自尊心が低下し、精神面にも不具合が生じてしまうおそれがあるのです。また、かえって介助に甘えてしまい、ひとりでやれることをする自主自立の生活から遠ざかってしまうこともあります。

そこで、パーキンソン患者が、できるだけ介助を受けずに自分自身の力で生活できるようになるための「リハビリテーション(運動療法)」が重要となります。

どんな種類のリハビリ(運動療法)があるの?

パーキンソン病での姿勢反射障害などの症状からの回復に向けて、具体的には次のような有効な運動療法があります。

基本動作訓練

あおむけ状態で身体をひねったり、寝た姿勢から座る姿勢、座った姿勢から立つ姿勢への移行など、日常生活に必要な基本動作を取り戻すことを目指します。

身体の柔軟性を取り戻す

立ちながら、あるいは座って、身体をゆっくりと前後に曲げ伸ばし、左右にひねったりします。

バランスのいい姿勢を取り戻す

寝ながらうつ伏せの姿勢を取ったり、壁などに沿って背のばしの姿勢を取ったりします。立つことができる場合は、つま先立ちや片足立ちなどの練習をして、バランスよく立てる練習をします。

歩行訓練

リズムに乗って声を出しながら、その場で足踏みをし、歩く感覚を少しずつ取り戻します。前傾姿勢が治りにくい場合は、歩行器などの補助器具を押して歩く練習をします。歩き出すときは、手の振りを大きくし、身体をひねるようにして、できるだけ歩幅を大きく取ると、前傾姿勢が改善されることがあります。

おわりに:適切なリハビリで生活の質(QOL)の向上を目指そう

パーキンソン病は、脳から全身の筋肉へ運動の指令を送るために必要な、ドーパミンという神経伝達物質が減少する疾病ですので、身体の姿勢にギクシャクした感覚が生じて、日常動作や歩行が困難になります。しかし、日常動作が難しくなると、心理的にも後ろ向きになって塞ぎ込みがちになりますので、リハビリテーション(運動療法)で自身による日常動作を取り戻し、生活の質(QOL)の向上を目指しましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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