記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/19
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
冷え性を放置してしまうと、心身のトラブルにつながるおそれがあります。冷え性の改善は生活習慣の見直しが基本ですが、薬や漢方で回復するケースもあります。この記事では、冷え性の改善効果が期待できる薬について詳しく解説していきます。
冷え性は、血液の流れが弱まっていることで、心臓から遠い身体末端の毛細血管に血流が行き届きにくくなり、皮膚の体温が下がって感じられ、手足が冷たくなる症状です。
冬に悩まされるイメージですが、季節には関係なく起こります。
体温を作り出す筋肉の量が少なく、一度冷めたら温まりにくい皮下脂肪の多い女性が、体質的に冷え性にかかりやすいといわれています。しかし、老化などで筋肉が落ちてしまえば男性でも冷え性に悩まされる可能性があるのです。男性の冷え性は、頻尿や腰痛、ED(勃起不全)などの合併症を引き起こすこともあり、決して軽く考えることはできません。
体質だけでなく、ストレスに悩まされていたり、自律神経が乱れていたり、バランスのいい食事を取れていなかったりすることがきっかけでも、冷え性が起きる可能性はあります。また、喫煙や便秘も血行を悪くするので、冷え性を引き起こしかねません。
冷え性の改善には、ショウガ入りの飲み物を飲んだり、保温効果のある入浴剤を入れて湯船に浸かったりして、芯から身体を温める方法が有効とされています。
また、病院で冷え性の薬を処方してもらうこともできます。
冷え性に効果が期待できる薬剤には、ビタミンEを配合したビタミン剤の他、漢方薬もあります。
西洋医学では冷え性を病気とは捉えませんが、東洋医学では病気のひとつとして考えます。東洋医学において、人の身体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つで構成されていると定義し、このうちで冷え性は、生命の原動力である「気」や、全身に栄養素を送る「血」が不足していると考えます。
冷え性に処方される代表的な漢方薬として「当帰四逆加呉茱萸生姜湯」があります。冷え性の方の「気」に働きかけて、体内で熱を作り出すエネルギーを引き出し、冷え性に伴う頭痛や腰痛などの緩和を目指します。
冷え性は、ストレスなどの影響で交感神経が優位になり、なかなかリラックスできずに緊張感が持続することで、毛細血管にまで血行が行きわたりにくくなるために起こることが多いと考えられています。このほか、喫煙や便秘、締め付けのきつい衣服や下着による血行悪化で冷え性を発症するケースも少なくありません。
普段の生活を見直し、ウォーキングやストレッチなどの軽い運動をする習慣を身につけ、1日3食をバランスよく摂取しましょう。しょうが、唐辛子、にんにくなどの自然スパイスのほか、ニンジン、ごぼう、レンコン、山芋、こんにゃくなどの根菜類は体温を上げる効果が期待できる食材として著名です。また、ゆっくりと湯船に浸かってリラックスできる時間を作ることも冷え性改善に役立つでしょう。
冷え性は、腰痛や頭痛、頻尿などを合併することもある、憂鬱で厄介な症状です。ビタミン剤や漢方薬によって改善されることもありますが、それも普段の生活習慣まで総合的に見直してこそ、回復力が増すのです。身体の芯から体温を上げるために日常生活を見直して、冷え性を改善しましょう。