パーキンソン病の症状「姿勢反射障害」に対するリハビリ:日常生活編

2018/1/19

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

パーキンソン病は、ドーパミンが不足することで運動機能が正常に働かなくなってしまう病気です。体が思うように動かせなくなってしまうため、生活の質が著しく低下してしまうこともあります。この記事では、パーキンソン病の姿勢反射障害のリハビリについて解説しています。また、日常生活の注意点や周囲の人がサポートするときの注意点についても紹介しています。

姿勢反射障害はパーキンソン病の症状のひとつ

姿勢反射障害とは、『寡動・無動』『安静時振戦』『筋固縮』と並んで挙げられる、パーキンソン病の「四大徴候」のひとつです。パーキンソン病は、脳から全身の筋肉へ運動に関する指令を送るために必要なドーパミンという神経伝達物質が不足することから起きる病気で、50代以上の高年齢層で発症するリスクが高まります。

その中でも姿勢反射障害は、直立しているときに、その独特の前傾姿勢のために身体のバランスを崩して転びやすくなり、歩行が難しくなる症状です。

歩いているときの方向転換が困難になったり、突然走り出す「突進現象」がみられることもあります。そのため、就労できなくなることもありますし、ごく普通の日常生活も送れなくなるおそれがあるのです。

日常動作の訓練をする理由と、改善のためのポイント

そこで、日常生活や社会生活を取り戻すための治療が必要です。方針として、薬物療法や手術などもありますが、自力で動ける日常生活を取り戻すために重要なのがリハビリテーション(運動療法)です。

パーキンソン病の治療を目的とするリハビリの中でも、特に日常動作を改善、回復させるのに留意しておきたいことは以下の通りです。

首や肩のまわりを重点的にほぐす

パーキンソン病患者の方は、首や肩の筋肉が緊張して前かがみの姿勢になりやすく、肩こりなどを併発しやすいです。
肩を上下に動かしたり、首を回したりする運動を適切に繰り返すことで、姿勢反射障害の症状が軽くなっていくことがあります。

シンプルで大きな動き

パーキンソン病では、関節を曲げる筋肉と伸ばす筋肉の両方が同時に緊張して作用してしまうので、スムーズに身体を動かせなくなってしまいます。筋肉が交互に動くように関節をゆっくり大きく動かすことを意識する練習をしましょう。

ひとつの動きを確実に

通常は無意識にしているので気づきにくいですが、たとえば、椅子を動かしながら立ち上がったり、テーブルに椅子を押し込みながら歩き始めるなど、日常動作は、複数の動作を同時に行うことが多いです。この複数の動作を同時に行うことが、パーキンソン病患者には難しいといわれています。
複数の日常動作を切り分けて、ひとつの動作を確実にできるように練習を行ってください。

早い段階からリハビリを開始する

歳を重ねるほど、パーキンソン病の症状は進行していき、新しい動作を覚えることが難しくなります。たとえば、バリアフリーの歩行補助器具の使い方は、早いうちから使い慣れておくことが重要です。

食事、トイレ、着替え、洗面、風呂場での動作について

食事では、食べ物を確実に口へ運ぶ動作を意識し、姿勢をよくすることが必要です。食卓の周辺にあるものを目印にして見るようにすると、背筋が伸ばしやすいといわれています。

トイレでは、便器にまっすぐ背筋を伸ばして座れるよう、周囲に目印を付けて、動作の目安にしましょう。
トイレでズボンを上げ下ろししやすく、着替えやすいよう、衣服はジャージやスウェットなどの柔らかめの生地にすることをおすすめします。

着替えは、ボタンや靴下の着脱を確実にできるように、座位など安定した姿勢で行うとうまくいきやすいです。

床が濡れている浴室は、歩行が不安定なパーキンソン患者にとっては危険な場所となります。壁面に手すりを取り付けたり、マットを敷いたり、照明を明るめにして、安全に入浴できるようにしましょう。

おわりに:周囲の人は適度な距離をもってサポートをしていこう

パーキンソン病は、身体を思い通りに動かすのが困難になる病気であり、日常生活にも支障をきたします。日常生活が不自由になることは、精神的な苦痛も抱えることになりかねません。適切な運動療法によって日常動作の改善を図りましょう。ただし、周囲の人々が何から何までサポートすると、本人のプライドが傷ついたり、逆に甘えすぎるなどの問題を引き起こしやすいといわれています。適度な距離をもって治療をサポートしていきましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

この記事に含まれるキーワード

パーキンソン病(24) リハビリ(49) 運動療法(30) ドーパミン(5) 姿勢反射障害(3) 四大徴候(2)