胃腺腫の治療法:内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)について

2018/1/19

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

胃腺腫とは、胃にできる腫瘤の一種です。ただし、大きくなったものは癌化しやすい特徴をもっているため、他のポリープとは区別されています。この記事では、胃腺腫の代表的な治療法である内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)について解説しています。

胃腺腫はどんな病気?

胃腺腫(いせんしゅ)とは、胃に一種のポリープができる病気です。
周囲と比べて白っぽいコブのように見えるのが特徴で、一般的なポリープが上皮の過形成でできるのに対し、胃腺腫は上皮細胞の変質によって起こるとされています。

比較的高齢の男性に発症しやすい腫瘍で、良性のものと悪性のものがあります。
しかし、胃腺腫は胃癌と同じ胃粘膜上にできるとされ、発見時に良性であっても、2cm以上の大きさになると半数が癌化するというデータもある腫瘍です。

このように癌化しやすいという特徴があるため、一般的な胃ポリープとは区別され、胃腺腫は発見された時点で細胞を採取して生検を行い、定期的な経過観察を行い、必要に応じて治療を行われます。

胃腺腫の治療法のひとつ「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」とは?

胃腺腫の有効な治療法の1つに、ESDがあります。

ESDとは「内視鏡的粘膜下層剥離術:Endoscopic Submucosal Dissection」の略で、早期のがん・病変を、開腹せずに胃カメラとナイフを使って切除する手術方法です。

胃など消化器官の壁は、内側から粘膜、筋層、漿膜の3つから構成されて、粘膜はさらに粘膜層と粘膜下層に分けられます。
ESDは、胃粘膜上に発生する胃腺腫を、初期のうちに粘膜とその1つ下層である粘膜下層ごと切り取って、癌化を防いだり、腫瘍の進行を止めるための治療法になります。

ただし、基本的には「2センチ以下の大きさで胃潰瘍を伴っておらず、癌や腫瘍の深さが粘膜層まででとどまっている胃腺腫」に対してのみ、行える手術治療です。

例外もありますが、基本的には上記の条件を満たさないと受けることができません。

従来の治療と比べて、どんなメリットがあるの?

 

ESDのメリットとしては、まず何よりも開腹の必要がなく、手術が安全で短時間で済むことから、患者にとっての身体的負担が少ないという点が挙げられます。また、ナイフで腫瘍の大きさ・かたちに沿って丁寧に胃腺腫を切り取ることができるため、腫瘍を一回で切除する確率が上昇した点も大きなメリットといえるでしょう。

ESDの手術方法が確立される前は、開腹して臓器と周囲のリンパ節を取り除く大掛かりな外科手術をしたり、EMRと呼ばれる輪で腫瘍を焼き切る手術方法が主流でした。しかし、これらの方法は患者の身体的負担が大きかったり、一度ですべての腫瘍を切除しきることが難しかったのです。

ESDは、これらの過去の治療法の欠点を克服して生まれた、有用な治療法なのです。

おわりに:内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は胃腺腫の治療に効果的!まずは医療機関で専門医に相談を

胃腺腫は、放っておくと癌化するおそれもある恐ろしい腫瘍です。しかし初期であれば内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)によって、比較的安全に、一度の手術で切除することも可能とされています。健康診断などで胃腺腫と診断されたときに質問できるように、治療の選択肢としてESDの知識は持っておきましょう。

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