記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
成人男性によくみられる薄毛であるAGAは病院での治療で進行をある程度抑えられるといわれています。病院ではどのような治療をしていくのでしょうか。この記事では、病院で主に用いられる3つの治療法について解説しています。
AGAを引き起こしているのは少し変わった男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」とされており、DHTが生成されないようにするにはフィナステリドなどの薬剤の力が必要です。効果を持続させるためには、薬を飲み続ける必要があり、その意味ではAGAは現状では完治しない病気といえるかもしれません。
治療薬の効果が実感できるようになるのには早くても3か月はかかるとされ、効果が出たからと言って服用をやめればまた元の状態に戻ってしまいます。しかし言葉を変えれば、薬の服用という治療の継続により現状を維持し、進行を遅らせることは可能ともいえるのです。
AGAを引き起こす主な原因は男性ホルモンですが、その他に、加齢やストレス、食事、喫煙なども関わっていると考えられています。病因や治療目的に応じて、治療法は薬物療法と発毛治療、食事療法に分かれます。
進行性であるAGAの進行を抑制することが目的です。飲み薬は病院で医師の診察により処方されます。また外用薬(頭皮に塗る薬)は、薬局やドラッグストアで購入可能です。代表的な治療薬として処方されるのは、プロペシア®(内服薬)とミノキシジル(外用薬)です。プロペシア®は製品名で、プロペシア®に含まれるフィナステリドという成分がAGAを引き起こす原因となるDHTの合成を抑制します。一方、ミノキシジルは頭皮の血行を良くし、毛母細胞に刺激を与えることにより発毛を促す効果を期待するものです。
発毛を目的とした、施術を伴う積極的な対策方法です。発毛とは眠っている毛根に働きかけ活性化することであり、AGA治療薬で抜毛を食い止めつことに加え、髪の成長を促す「成長因子」と呼ばれる栄養分を頭皮に直接注入し、発毛や育毛を促していきます。
後頭部などから自毛を毛包ごと移植し、自然な毛包の再現を目指した治療法は自毛植毛と呼ばれるものであり発毛とは異なります。発毛治療を含めた他の治療で効果不十分な場合や、さらに毛量を増やしたいときに選択されます。
脂分や塩分、糖分を多く含む食べ物を食べ過ぎると薄毛の原因になるといわれています。つまり、これらの栄養分の過剰摂取により血行が悪くなり、髪の毛に栄養を届けることができなくなったり代謝が悪くなったりすることで、結果的に頭皮の状態も悪化すると考えられているのです。
一方で、髪の毛の主成分であるたんぱく質が不足すると髪の毛はどんどん細くなってしまいます。
したがって多くの栄養分をバランスよく摂取することが大切です。偏った食事等で髪の毛に必要な栄養が不足している場合は、食生活の改善はもちろん、不足している栄養を補えるようなサプリメント等も有効とされます。
生え際や産毛、毛包すらなくなってしまった場合の回復は難しくなります。また初期の段階では薬物療法の効果も期待できますが、AGAが進行してしまうと自毛植毛が必要になる可能性があります。薄毛が気になり始めたら早期治療が非常に大切です。
また薬物療法の効果があがり始めるのは早くても3か月後といわれます。継続してこそ効果があがる病気なので、治療を続ける姿勢を大切にしましょう。また食生活の改善や適度な運動、十分な睡眠など、根本的な健康維持をこころがけることも需要です。
治療法は大きく分けると3種類ですが、人それぞれ薄毛の原因や進行状況などが異なります。いずれも、自分の症状や病因に合った治療法でなければあまり効果は見込めません。自分にとって最適な治療法を事前に理解しておき、医師と相談しながら選択することが重要となります。