強迫性人格障害の5つのタイプの特徴の違いとは?

2018/1/19 記事改定日: 2019/5/23
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

強迫性人格障害とは、ルールなどに著しくこだわるあまりに柔軟性が欠けてしまい、周囲との軋轢を生じ仕事などに支障をきたしてしまう人格障害(パーソナリティ障害)です。
この記事では強迫性人格障害の5つの種類について詳しく解説しています。

強迫性人格障害とは?

強迫性人格障害とは、世間一般のルール(道徳や法規範)や自分内部の決まり事に強くこだわり、柔軟性や融通に欠けるという特徴をもっている人格障害です。

秩序や規則を順守することに忠実な真面目さは、本来、長所や美徳と言えるはずですが、それがエスカレートしまうことで生活や精神状態に支障がおよぶと、本人にも周囲にも悪影響が生じます。

そのような場合には、強迫性人格障害として治療が必要になる場合があります。

強迫性人格障害のタイプ別の特徴とは!?

良心的な強迫性人格障害

このタイプの人は、一般的な社会のルールや道徳に従順な特徴を持ち、できるだけ社会に適応しようと努力するタイプです。そのため、他のタイプと比べ、対人関係のトラブルを起こすことは少ないといえるでしょう。

ただ、自分の良識や常識をアピールすることに懸命になりすぎるため、真面目に頑張っても評価されない場合は、強烈な「見捨てられ不安」や「自己嫌悪」などの感情に襲われることが多いといわれています。

禁欲的な強迫性人格障害

このタイプは、物事や人を「白か黒か」「善か悪か」という杓子定規で評価し、他人を激しく攻撃したり批判したりしてしまいがちです。

普段からサディスティックな攻撃性や怒りを抑圧しているため、相手が道徳的・社会的に責められる状況にあると、突然攻撃的になったりします。

官僚的な強迫性人格障害

このタイプでは、大企業や官邸などの大きな組織に所属して自分の存在意義を見出そうとする傾向が強くみられます。そして、そういった組織の中で与えられた仕事を確実に果たすことによって自分の内面の問題から目を逸らすため、さらに自尊心が強まりがちです。

対人関係においても、相手の職業や社会的地位をそのまま人間的価値として認識してしまうため、取りつきにくく差別的で冷たい人と思われてしまうことも珍しくありません。

執着心の強い強迫性人格障害

このタイプは、所有物や金銭に対して過剰なまでの執着心を抱きがちです。日常生活を質素にしたり、自分の欲求や健康を犠牲にしてまで、お金を貯めようとする傾向があります。

幼少期に愛情や欲求を奪われたような経験が、物品や金銭に対する過度の所有欲を生み出していると考えられています。

混乱する強迫性人格障害

このタイプは、「~したい」という感情や怒りを抑圧し、「~すべき」と模範的な人間を演じることを特徴としますが、本人はそれに息苦しさや無価値観を感じ、混乱に陥っていることが多いとされます。

このような状態が続くことで、人生の目的や自分の欲求を見失ってしまう傾向があります

強迫性人格障害はどうやって治療するの?

この人格障害の根幹にあるのは、ストイックさや真面目さや完璧主義ですが、これ自体は日本人に多く見られる傾向で、とりたてて問題視するにはあたりません。
しかし度を過ぎて、仕事や生活に支障をきたす状態に及ぶと、治療対象になります。

また症状が表面化していないとしても、本人が強い精神的苦痛を感じている場合は放置するとうつ病や他の病気も引き起こしやすくなるため、治療がすすめられます。患者本人ばかりではなく、周囲に被害がおよんでいる場合も同様です。

治療方法

強迫性人格障害の治療は認知行動療法やカウンセリングなどの精神療法、抗てんかん薬や向精神薬、抗うつ薬などの薬物療法が行われます。

強迫性人格障害は脳内のセロトニンと呼ばれる神経伝達物質が正常に機能しないことによって引き起こされると考えられていることから、セロトニンの取り込みを抑制するSSRIなどの抗うつ薬が第一選択として用いられます。

ただ、効果には個人差があるので、SSRIを服用しても目立った効果がない場合には3~4カ月を目途に別のタイプの抗うつ薬や向精神薬などへの変更が検討されます。
服薬期間は症状改善の程度によって異なりますが、多くは1~2年ほど継続する必要があり、症状がなくなったからといって自己判断で服薬を中断すると再発することがあるので注意が必要です。

また、精神療法は高い効果があるケースも少なくありませんが、かえって症状が悪化することもありますので、担当医と相談しながら自分にあった治療を検討していくようにしましょう。

おわりに:どのタイプの強迫性人格障害でも、何らかのトラブルがあるときは早めに相談を

一言で強迫性人格障害といっても、どのような場面で症状が現れるかは個人差があり、治療方針も変わってきます。
しかしどのタイプにしても、日常生活に支障が出たり対人関係でトラブルが生じたりした場合には早期の治療が必要です。早めに専門医を受診しましょう。

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