骨嚢腫(こつのうしゅ)の手術法を解説

2018/1/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

骨嚢腫(こつのうしゅ)とは、骨髄に袋状の組織が形成されてしまい、その中に液体が溜まってしまう病気です。嚢腫に圧迫されて骨の外側が薄くなり、骨折しやすくなります。この記事では、骨嚢腫の手術療法について詳しく解説しています。

骨嚢腫(こつのうしゅ)はどんな病気?

骨嚢腫は、骨の内部の骨髄が破壊されて嚢腫(ふくろ状の空洞)ができ、そこに血清に似た液体が溜まっていく病気です。外側の厚い部分(骨皮質)が圧迫されて、外へふくらみながらだんだん薄くなって痛みが出たり、さらにひどくなると骨折を起こしたります。
嚢腫が徐々に大きくなる点では腫瘍に似ていますが、どこにも腫瘍細胞は確認されないため、骨腫瘍類似疾患に分類されています。発症する年代はほとんどが20歳以下で、病変は上腕骨や大腿骨などに好発しますが、他の部位に発症することもあります。

骨嚢腫の原因は不明です。嚢腫内の圧力の異常などが原因として有力視されていますが、明らかになっていません。嚢腫が大きくなって骨皮質が薄くなり、骨が弱くなって、軽く転倒したときや腕で支えただけなど普通ならば折れないような状況で骨折(病的骨折)を起こして気がつくことが多いいわれています。

骨嚢腫はどのように治療するの?

X線(レントゲン)検査やCT、MRI検査などのもと診断が行われます。症状などを考慮しながら、状態にあった治療方法を選択することになります。
一番軽い治療は、皮膚の上から鋼線を刺して骨嚢腫の壁に複数個の穴をあけ、さらに骨嚢腫内に白濁したステロイド薬を注入する方法です。
小切開で骨の嚢腫の壁に中空のドリルをいれる方法も行われます。
これらの治療で、大半のケースで骨嚢腫内に十分な骨が形成されます。骨形成が十分でなかったり、一度よくなったのに再び嚢腫が広がった場合でも、ステロイド薬の注入などは患部に傷をつけることがないため、繰り返し行って様子を見る場合もあります。

どうしてもうまくいかない場合には、手術で嚢腫壁を必要な範囲削り、中の膜状構造物をすべて取り除き、腸骨(骨盤の骨の一部)から取った自分の骨や人工骨を移植します。
ただしこういった手術のあとでも再発したり、嚢腫が残ったりする可能性があるため、手術後も経過観察が必要となります

骨嚢腫の手術方法について

嚢腫減圧術

単発性骨嚢腫の内側で高くなった圧力を減圧すると、その治癒が促進されることに着眼した手術方法です。骨嚢腫を掻爬(そうは:中身を掻きだす)した後、嚢腫壁にK-ワイヤーという特殊な機械で穴を開けます。さらに、チタン製もしくはハイドロキシアパタイト製中空ピンを嚢腫内と骨の外側に連絡させるよう留め置きます。

ステロイド注入法

骨嚢腫内に金属針を挿入し内容物を吸引し診断を確定したうえで、造影剤を注入し嚢腫壁を確認後、メチルプレドニゾロンを嚢腫内に注入する方法です。痛みや出血を抑えられるというメリットがありますが、再発率が高いために再手術の必要性がある症例が少なくないといわれています。

おわりに:骨嚢腫は再発が多い病気。気長に治療を続けていくことが大切

同じ部位に度重なる骨折や腫れ、痛みが生じる場合は、何かしらの病気が潜んでいる可能性があります。その中のひとつが骨嚢腫です。この病気は、一度の治療で完治しなくても、治療を繰り返すことで改善していくことが多いとされます。医師の指示に従い、気長に治療を続けるようにしましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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