記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/21 記事改定日: 2020/9/29
記事改定回数:1回
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
過食症は大食いとは分けて考えられます。食欲がコントロールできずに過剰に食べてしまう状態で、過食症は食事量が過剰なのに標準体重の人もいますがなぜでしょう。強烈な不安感や自己嫌悪、卑下、うつなどが原因と考えられていますが、発症しやすい人や治療法を紹介していきます。
摂食障害には、食欲不振である「拒食症」、大食いになる「過食症」があります。どちらも「自分は太っている」「痩せたい」という強迫観念に襲われるのが特徴です。
過食症は、精神状態の不良・不調から来る摂食障害で、早期発見・早期治療が何よりも大切になります。
過食症は、拒食症と同様、以下のような症状も引き起こすリスクがあります。
摂食障害は、理想の体型・体重に対し、こだわりを持っていることが関係しているといわれています。
摂食障害の人は、食べ物、カロリー、脂肪、肥満に対して強い恐怖心を抱き、その感情的な苦痛に対処するために、食習慣を変えます。過食症の人は食べ過ぎて制御が利かなくなってしまう期間(過食)と、その後わざと吐いたり下剤を使って食べたものを外に出そうとする期間(浄化)を繰り返します。
過食によって体重が増えることへの恐れや食べ過ぎてしまったことの罪悪感を感じることが多いです。浄化によって、食べたものを外に出して恐れや罪悪感をゼロにしようとします。
過食症の兆候には、食べ物や食べることに対する嫌悪感・蔑視や、体重や体型を過度に気にすることが挙げられます。
また、食後に頻繁にトイレに行き、戻ってきたときに顔が紅潮し、指の関節に傷がある(指を喉に突っ込んで嘔吐するため)なども過食症のサインになります。
過食症は本人に自覚がなく悪化することもあるため、周囲の人が過食行動に早めに気づき、早期治療を始めることも大切です。
拒食症と過食症はそれぞれを繰り返しやすいといわれています。
一般的には、思春期の頃に過度な痩せ願望を抱いて無理なダイエットを行い、拒食症に進行していくものの、数か月から数年が経過すると突然「食」への執着が生じて過食症に移行し、同じくらいの時間が経過すると急激に拒食症へ移行していくというパターンを繰り返すことが多いようです。
拒食症と同じく、女性のほうが男性よりも過食症になりやすい傾向があります。
最近の研究では、思春期の5人に1人の女性が潜在的に摂食障害を発症する危険性があると考えられているため、若い世代の女性は過食症になる可能性が比較的高いといえるでしょう。
また、過食症を発症する人は自己嫌悪・自己卑下の傾向があり、ネガティブ思考に陥りがやすいといわれています。
過食症を治す第一歩は、自分自身が問題を抱えているということを自覚することです。それから、医師や専門家に相談し、どのような治療が必要か話し合います。
過食症と疑われる人が周りにいるのであれば、しっかりと対話し、医師の診療を受けるよう、説得してください。
回復への第一歩は、症状を認識することと、回復したいと心から思う気持ちです。それから、認知行動療法プログラムや過食と嘔吐の衝動を抑える抗鬱剤を処方したりします。
自己啓発の本も、過食症の人に非常に効果的であるということがわかってきました。友人や家族の協力も助けになるでしょう。
過食症の治療には、投薬に加え、認知行動療法や対人関係療法を行ないます。心の病気であるため、メンタルのケアが欠かせないからです。過食症は完治させる治療法がないため、焦って短期間で治そうとしても治療がうまくいかないおそれがあります。時間をかけて少しずつ、マイナスイメージをプラスの方向に変え、身体と心の両面から治癒に導いていきましょう。