ネフローゼ症候群の症状と合併症には、どんなものがある?

2018/1/23 記事改定日: 2018/8/21
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

タンパク尿と血液中のタンパク質の濃度低下によってむくみなどの症状が現れることをネフローゼ症候群といいます。ネフローゼ症候群の症状や、気を付けるべき合併症にはどんなものがあるのでしょうか。
治療方法とあわせて説明していきます。

ネフローゼ症候群の主症状

ネフローゼ症候群を発症すると、以下のような症状が現れます。なお、ネフローゼ症候群は大人でも子供でも発症する可能性があります。

むくみ

アルブミンの不足によって体の組織に余分な水分が溜まり、むくみや体重増加が起こります。特にむくみやすいのは、まぶたや足などです。肺に水分が溜まると息苦しさを生じ、腸などの腹部に水分が溜まると腹痛や下痢、嘔吐、食欲不振などを生じます。

血尿などの尿の変化

腎臓に水分が運ばれなくなるために尿量が減ったり、タンパクによって尿の泡立ちが強くなったり、尿中に赤血球が出て尿が赤くなったりします。なお、尿が赤い場合には、糸球体への障害が強いことを示しています。

体のだるさ

むくみや体の重さ、食欲不振など、様々な症状が重なることにより、体がだるいと感じるようになります。

ネフローゼ症候群によって生じる合併症について

小児のネフローゼ症候群

小児のネフローゼ症候群においては、以下のような合併症を生じる可能性があります。

感染症
IgGや特異的抗体産生の低下、ステロイドや免疫抑制薬の使用などにより、様々な病気に感染しやすくなります。
血栓症
下肢静脈血栓症や脳梗塞などの血栓症が多く見られます。
急性腎不全
急性腎不全の合併はまれだとはいわれていますが、発症した場合は急激に進行するため注意が必要です。

大人のネフローゼ症候群

成人のネフローゼ症候群でも、小児の場合と同様に感染症や血栓症を合併しやすくなります。
特に成人に多いとされるのが、以下の合併症です。

心血管疾患
血栓が生じやすいために心筋梗塞のリスクが高く、特に高齢者には予防対策が必要だとされています。
悪性腫瘍
ステロイド治療や免疫抑制療法が悪性腫瘍のリスクを増大させると指摘されています。

ネフローゼ症候群の原因は?

腎臓には、「糸球体」と呼ばれる、体内の血液をろ過する役割を持つ器官があります。「ネフローゼ症候群」とは、何らかの原因でこの糸球体の機能が低下することで、尿に大量のタンパクが漏れ出すようになった結果、血液中のタンパク質の濃度が低下することです。血液中のタンパクの濃度が低下すると、本来は血液中の5割を占める「アルブミン」というタンパクが減少します。

ネフローゼ症候群は、「一次性(原発性)ネフローゼ症候群」と「二次性(続発性)ネフローゼ症候群」に分けられます。

一次性ネフローゼ症候群

微小変化型ネフローゼ症候群、巣状糸球体硬化症、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎などによって起こるとされていますが、その原因のほとんどは明確ではありません。

二次性ネフローゼ症候群

ループス腎炎やIgA 血管炎といった自己免疫疾患、糖尿病性腎症、アミロイドーシスなど、原因疾患が明確なものです。

ネフローゼ症候群の治療方法は?

ネフローゼ症候群では、原因疾患が明確で、その治療法が確立されている場合を除いては様々な諸症状に対する対処療法を行うしかありません。

むくみを軽減するためには、厳密な塩分制限と利尿薬が使用され、腎臓保護作用のあるACE阻害薬やアンジオテンシン受容体拮抗薬のようなレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系に関与する薬剤の投与が行われます。
ただし、これらの薬剤は腎機能が中等度以上の障害を受けている人が使用すると血中カリウム濃度が上昇し、不整脈を引き起こすことがあるので慎重な投与が必要となります。

また、ネフローゼでは高LDLコレステロール血症を生じやすく、心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクが上昇するため、LDLコレステロール低下効果を持つスタチン系製剤の投与が行われます。
これらの治療を行っても症状が改善しない場合には、ステロイドや免疫抑制剤などの全身投与が行われることもありますが、ステロイド剤の大量投与による肥満や骨粗鬆症、免疫抑制効果などの副作用が生じやすくなり、小児期では性的な発達が遅れることも少なくありません。

このため、ステロイドや免疫抑制剤を使用する際には、それぞれの副作用の発症を注意深く観察し、薬量の調節や場合によっては薬剤の変更などを行いながら治療を進めていきます。

おわりに:ネフローゼ症候群では感染症や血栓症などにも注意が必要

ネフローゼ症候群では、体のむくみなどのほか、糸球体の機能低下や治療などによる合併症にも注意しなければなりません。症状の悪化や合併症を防ぐためには適切な治療を受けることが大切です。尿の状態やむくみが気になる場合には、速やかに受診しましょう。

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