氷をたくさん食べるのは貧血が原因?どうすれば治せるの?

2018/1/24 記事改定日: 2020/3/17
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

暑い季節でもないのに氷を食べるのが癖になってしまっていませんか?もしかしたらそれは貧血が原因の行動かもしれません。今回の記事では、貧血による氷食症のメカニズムや治療法について解説していきます。

貧血だと氷を食べるようになるって本当?

体内の鉄分が欠乏し、貧血状態になると無性に氷が食べたくなる「氷食症」を引き起こすことがあるといわれています。「氷食症」とは異食症(文化的・社会的な背景とは関わらず、食べ物ではないものを食べてしまう病気)の一種で、文字通り氷をたくさん食べてしまう病気であり、季節に関係なく大量の氷(目安として、製氷皿1杯以上と言われています)を食べるのが特徴です。

氷食症が進行すると鉄欠乏性貧血を発症し、ヘモグロビン(血中に酸素を運ぶ役割を担う)に含まれる鉄分が少なくなって酸素を運ぶのがスムーズにいかなくなった結果、動悸や息切れ、めまい、顔の血色が悪くなるといった症状が現れるようになります。また、爪がボロボロになる、舌が染みるようになるといった特徴的な症状も見られることもあります。

なぜ貧血だと氷を食べるようになるの?

鉄欠乏性貧血になると、氷だけでなく土も食べるようになる(土食症という異食症の一種です)ことがあるのですが、なぜ鉄分が不足するとこれらのものが食べたくなるのかは、わかっていません。

現状では、貧血による赤血球の量と機能低下で体内の酸素が不足して自律神経が乱れたことで、体温調節がうまくいかなくなって口の中の温度が上がり、氷を食べて口の中を冷やそうとすることで起こるのではないかと考えられています。また、鉄分が不足したことで食の嗜好が変わり、氷を食べたくなるという説もあります。

ちなみに、「氷を食べることで血液が薄まったために貧血になる」という説もありますが、因果関係が証明されておらず、信ぴょう性は高くありません。

異食症について

異食症自体は、危険なものを食べなければ社会生活に影響を及ぼさない病気ですが、中には毛や粘土といった消化しにくいものや、塗料のように毒素が含まれるものを食べてしまうケースもあり、消化管がつまったり中毒症状を起こすことがあるため危険です。

異食症は精神的なものが原因のこともあるので、症状への対症療法だけでなく、生活全体を見直す必要も出てきます。

氷食症は治療できるの?

ヘモグロビンの濃度や貧血の有無は病院の血液検査でわかります。鉄欠乏性貧血が氷食症の原因と考えられる場合、鉄剤の服用で鉄欠乏性貧血が改善すると、氷を食べたくなる衝動は和らぐことがほとんどです。

鉄剤を服用すると、倦怠感や吐き気といった副作用が出ることがありますが、こうした症状は一時的なものです。内服をやめれば改善されます。

鉄欠乏性貧血を予防するには

鉄欠乏性貧血は鉄分が不足することによって発症しますので、発症を予防するには鉄分の摂取を心がけることが大切です。鉄分はホウレンソウやピーマンなどの野菜類、ひじきなどの海藻類、レバーなどの肉類に多く含まれています。日々の食事の中でこれらの食材を積極的に取り入れるようにしましょう。

しかし、体質によっては食事で十分な鉄分を取っていたとしても鉄欠乏性貧血を発症してしまうこともあります。次のような症状は鉄欠乏性貧血が疑われますのでできるだけ早く病院で検査や治療を受けるようにしましょう。

  • 息切れ
  • 動悸
  • めまい、立ちくらみ
  • 倦怠感、疲労感
  • 瞼の裏が白い
  • 爪の中心部が凹んでいるように見える

また、女性は子宮筋腫などが原因で月経量が多くなると鉄欠乏性貧血を発症しやすくなります。思い当たる症状がある方は婦人科で相談しましょう。

おわりに:鉄欠乏性貧血が原因の氷食症は「貧血の改善」が治療のポイントになる

暑いわけでもないのに製氷皿の氷を大量に食べてしまう氷食症は、鉄欠乏性貧血が原因で発症することも多いです。もし、氷を大量に食べてしまうといった症状がみられた場合や、鉄欠乏性貧血が疑われる症状が出ているときは、念のため病院で調べてもらいましょう。

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