脊髄腫瘍の手術の流れと起こり得る問題点とは!?

2018/1/23 記事改定日: 2019/3/22
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

脊髄腫瘍とは、脊髄や脊髄の周辺組織に腫瘍ができる病気です。治療には、手術療法、放射線療法、抗がん剤療法などがあります。
この記事では、脊髄腫瘍の手術「脊髄腫瘍摘出術」について解説しています。メリットだけでなく、合併症のリスクなどデメリットについてもきちんと理解しておきましょう。

脊髄腫瘍とは?

脊髄腫瘍とは、脊髄、クモ膜、硬膜、神経根、脊椎などの脊髄や脊髄周辺組織に腫瘍が発生する病気です。腫瘍により脊髄や神経根が圧迫されることで痛みやしびれ、麻痺などの症状が現れます。

代表的な腫瘍としてあげられるのは髄膜腫、神経鞘腫、神経膠腫などです。
腫瘍の種類に関わらず、脊髄圧迫の症状が現れます。多くは四肢(腕、脚のこと)の神経痛や筋力低下、感覚のしびれなどが現れ、手足が動かなくなったり、尿や便の失禁、呼吸障害など重篤な症状があらわれることもあります。

脊髄腫瘍の手術が検討されるタイミングは?

手術療法、放射線照射、抗がん剤治療などで良好な経過をたどることも多いといわれています。

ただ、脊髄はある一定以上の障害を受けると、手術しても元の状態には戻れないため、超えてはならない一線というのが存在します。その一線を越えてしまうと、完全麻痺の状態になってしまう場合もあります。

完全麻痺を未然に防ぐためには、適切なタイミングで腫瘍摘出したり、神経の圧迫因子を除去する神経除圧を施すことが効果的だと考えられています。

脊髄腫瘍の手術の流れは?

脊髄腫瘍の根本的な治療は手術ですが、どのように腫瘍が生育しているかによって手術方法は異なります。

硬膜の外側で生育して脊髄を圧排している腫瘍では、椎骨などを切り開いて腫瘍まで到達し、切除する手術が行われます。術後は脊髄の圧迫が解除されるので痛みやしびれなどの症状が劇的に改善することも少なくありません。

一方、硬膜内に生育して脊髄を圧排しているタイプの腫瘍では、手術用の顕微鏡を用いて慎重に硬膜を切開し、脊髄と腫瘍との境界を慎重に見極めながら切除する手術が行われます。
また、脊髄の内部で生育する腫瘍の場合には、手術によって脊髄を傷つけて神経麻痺などの後遺症をのこすことがあります。そのため、顕微鏡を用いて非常に慎重な摘出が行われることもありますが、完全に摘出するのは困難なケースがほとんどです。

このように、脊髄腫瘍は腫瘍の生育タイプによって手術方法が大きく異なりますが、術後に関してはどの手術方法であっても医師の許可が出るまで安静を維持し、脊髄への負担を最小限に抑えることが大切です。
また、痛みやしびれ、筋力低下などの神経症状、発熱などの感染症を疑わせる症状が現れたときには速やかに医師に相談するようにしましょう。

脊髄腫瘍の手術には、どんなリスクがあるの?

どのような手術には少なからずリスクが伴います。
脊髄腫瘍のリスクを以下で紹介するので、メリットやデメリット、合併症のリスクを正しく理解し、十分納得したうえで意思決定をするようにしましょう。

大量出血

腫瘍摘出の手術の過程で、大量出血のリスクがあります。また、腫瘍摘出によって急激に脊髄の圧迫が減少するため、手術後に脊髄内に出血が起こることもあります。

神経症状の発現、悪化

手術中に脊髄や神経根を栄養する血管を損傷してしまうと、脊髄や神経根に障害を生じるおそれがあります
その他、手術の影響で一時的に脊髄がむくんでしまうことで、脊髄症状が悪化することもあります。

感染症

腫瘍摘出の過程で、脊髄を覆っている硬膜を切開、切除することがありますが、この方式では術後に脊髄液が皮膚の下に貯留することがあります。最悪の場合は細菌性髄膜炎などの重篤な合併症を起こすこともあります。

そのほかの合併症やリスク

脊椎が変形したり、不安定になったり、呼吸障害や感染症、麻酔や輸血、薬剤によるショック状態を引き起こすリスクもあります。
そして肝炎や糖尿病、高血圧、肺気腫、胃潰瘍、パーキンソン病、内分泌疾患、精神疾患などを持っている人は、これらの病気が重症化してしまうこともあるのです。

おわりに:脊髄腫瘍の手術は、メリットとデメリットを正しく理解したうえで受けよう

脊髄腫瘍は、腫瘍が脊髄を圧迫することで痛みや麻痺、しびれなどの症状が現れ、ある程度進行すると完全麻痺に陥る場合もあります。脊髄は一定のレベルまで損傷されると元の健康な状態に戻ることができないため、適切なタイミングで治療を受けることが重要です。ただし手術を含め、脊髄腫瘍の治療には必ずリスクがあります。手術のメリットとデメリットを正しく理解し、医師を相談しながら自分にあった治療を選択しましょう。

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