甲状腺刺激ホルモンとは?数値が高い原因は?

2018/1/23

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

甲状腺ホルモンは、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の刺激を受けて分泌されるものです。基本的に甲状腺ホルモンの分泌量が十分であれば、甲状腺刺激ホルモンが分泌されることはありませんが、何かしらの原因で、甲状腺刺激ホルモンの分泌量が高くなってしまうことがあります。どのような場合に分泌量が高くなるのか、高くなるとどんな症状がみられるかを解説します。

甲状腺刺激ホルモンとは

甲状腺ホルモンは、のどぼとけの下方にある甲状腺から分泌され、血液によって全身に運ばれ新陳代謝を活発にします。血中の甲状腺ホルモンが不足すると、まず脳にある視床下部から甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)が放出されます。このTRHが下垂体を刺激すると、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が放出されます。そして、TSHが甲状腺を刺激すると、甲状腺ホルモンが分泌されるのです。
血中の甲状腺ホルモンが増え過ぎると、視床下部や下垂体に伝わってTRHやTSHの放出が抑制され、甲状腺ホルモンの分泌が抑えられます。甲状腺ホルモンは多すぎても少なすぎても代謝機能が乱れ、身体にさまざまな症状があらわれるため、甲状腺疾患の検査では甲状腺刺激ホルモンの数値が重要になります。

甲状腺刺激ホルモンの数値が高い。原因は?

甲状腺ホルモンの数値は正常なのに甲状腺刺激ホルモンの数値が高い場合、潜在性甲状腺機能低下症になっている恐れがあります。これは甲状腺機能低下症を発症する前段階の症状で、橋本病(慢性甲状腺炎)が主な原因になっていると言われています。自己免疫による攻撃で甲状腺に慢性の炎症が起こり、その症状が進むと甲状腺の腫れといった機能が低下します。

甲状腺刺激ホルモンの数値が高くなるとどんな症状が現れるの?

甲状腺刺激ホルモンの数値だけが高くなると、慢性的な倦怠感や便秘、むくみといった自覚症状があらわれます。この症状から甲状腺機能低下症へと進むと、代謝が衰えたり、気力が失われて常に全身がだるくなったりします。身体も冷えやすく、食事量は変わらないのに太ってしまうこともあります。集中力の低下やうつ状態に陥ることもあるため、更年期に差し掛かる頃に発症した場合、更年期障害と思い込んで甲状腺機能低下症であることに気付きにくくなることもあります。

こんなトコロで化学物質を使っていた・・・日常生活での注意点

シックハウス症候群やアレルギーを含む化学物質過敏症は、甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症を誘発したり、悪化させたりすることがあると考えられているため、日常生活での対策が重要です。
シックハウス症候群で顕著にみられるのは、新築住宅の建材や壁紙などから発散される化学物質によるものですが、床にかけたワックスや殺虫剤、芳香剤なども原因となることがあります。
カビの胞子やダニ対策も欠かせません。こまめな掃除はもちろん、何より重要なのが換気です。新築時はもちろん、リフォーム後も入居前に換気を徹底しましょう。また、新品の大型家具を購入したり、カーテンやカーペットを新調した直後も要注意です。
化学物質過敏症は、いったん発症するとさまざまな化学物質に過敏に反応するようになると言われています。このため、十分な対策をして発症を防ぐことが大切です。

おわりに:甲状腺刺激ホルモンの過剰分泌が冷えやむくみの原因になることも

甲状腺刺激ホルモンは甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンの分泌を促すものです。代謝を維持する上で大切なホルモンですが、必要以上に分泌されてしまうと甲状腺機能低下症を引き起こす可能性があります。これまで経験したことがないほどの倦怠感やむくみ、集中力の低下などが続くときは、念のため病院で検査を受けましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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