記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/5
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
プラセンタは胎盤から有効成分を抽出したものです。サプリメントや化粧品など、美容や健康関連の商品に多く使われていますが、これらの商品には副作用の心配はないのでしょうか。この記事で解説していきます。
サプリメントや化粧品など、美容や健康関連の多くのアイテムに配合されているプラセンタは、豚やヒツジ、馬などの胎盤から有効成分を抽出したものです。自然界では、胎盤は出産後の栄養補給のために利用されており、豊富なアミノ酸をはじめとしてビタミンやミネラル、核酸などの様々な有効成分を含有しています。その中でも最も特徴的なのが、生理活性作用を強く発揮する複数の種類の成長因子を含んでいることです。
成長因子とはGrowth factorとも呼ばれている物質で、細胞分裂を活性化する作用があります。プラセンタには、線維芽細胞や免疫細胞、神経細胞など、さまざまな細胞を活性化する成長因子が含まれているので、美肌や免疫力の向上、アンチエイジングなどの効果を期待できます。
サプリメントや化粧品などに使用されているプラセンタは動物の胎盤を原料としていますが、美容外科や歯科などの医療機関で提供している医療用プラセンタの中には、ヒトの胎盤を原料としているものもあります。両者は使用方法に関して明確に違っており、前者は経口や経皮からの有効成分の吸収を目的としているのに対して、後者は注射による投与となります。
身体の内側に直接届けるため、医療用プラセンタの方が効果的ですが、副作用のリスクも高くなります。具体的には、注射した部位の疼痛や発赤が全体の3.7~7.1%に、悪寒や発熱などが0.1~5%にみられます。
一方、動物由来の胎盤を用いた医療用ではないプラセンタも100%安全というわけではなく、接触皮膚炎や薬剤性肺炎などの発症や、アトピー性皮膚炎の悪化といった健康被害が生じたことが報告されています。
サプリメントタイプのプラセンタで報告されている副作用には、薬剤性肺炎や薬剤性肝炎、全身性斑状強皮症や接触皮膚炎などの重篤なものから、湿疹やニキビ、むくみや吐き気などの軽度なものまで多岐にわたっています。これは、アミノ酸やたんぱく質を豊富に含んでいるので、食品を摂取した時に起きる食物アレルギーと同様に免疫反応が出るためと考えられています。
一方、ヒトプラセンタを用いたプラセンタ注射の場合は、「LAENNEC(ラエンネック)」にのみ副作用が報告されています。こちらの場合は疼痛や痒み、発熱など、注射することで生じたものです。細菌やウイルスの混入によるトラブルが発生するケースもあり得る、ということになります。
プラセンタは、更年期障害や不眠を改善するために医療用にも使われていることから、効果と安全性の両方を兼ね備えているというイメージが持たれがちですが、副作用が発生するリスクは残念ながら0%というわけではありません。このため、効果だけを追求するのではなく、安全性についても事前にきちんと確認することが重要です。
具体的には、プラセンタ関連商品の場合はGMPマークがついているなど、衛生管理基準の高い工場で生産されたものを選択すること、プラセンタ注射を受ける時は信頼できるクリニックを見つけることが重要です。また、トラブルが生じた時にはすぐに中止するなど、事後の処理を迅速にという点も、リスクを回避するためのポイントとなります。
プラセンタは豊富な栄養素を含んでいるので、サプリメントとして服用することが多いものですが、必ずしも副作用がないわけではありません。場合によっては薬剤性肺炎や薬剤性肝炎など、重篤な副作用をもたらすこともありますので、効果だけでなく、安全性も十分に調べた上で利用しましょう。