伝染性単核球症の再発を繰り返すのは他の病気かもしれないって本当?

2018/2/1 記事改定日: 2018/7/5
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

伝染性単核球症は、唾液中に存在するEBウイルスに感染することで発症する病気で、発症すると風邪とよく似た症状があらわれます。この記事では、伝染性単核球症の特徴や合併症の可能性、発症したときの対処法、鑑別が必要な病気について解説します。

伝染性単核球症はどんな病気?

伝染性単核球症は、EBウイルスというヘルペスウイルスの仲間のウイルスに感染することによって発症する病気です。発症すると発熱やのどの痛みなどがあらわれますが、風邪と同じような症状のため、伝染性単核球症だと気付かないことがほとんどです。このため、2~3週間も同じような状態が続いてから医療機関を受診し、検査をして初めて伝染性単核球症だと気づくことがあります。

一度感染した人は抗体を持っているので大人の伝染性単核球症は発症例が少なかったのですが、近年は高校生や大学生などの若年層での発症者が増えているといわれています。

伝染性単核球症の感染経路 ― キスでうつるって本当?

伝染性単核球症の発症原因となるEBウイルスは唾液中に存在するため、キスや回し飲みなどで接触することで感染します。

この病気は小さな頃に感染すれば生涯免疫を持つことが多く、2~3歳までに70%の人が感染していると言われています。小さな頃に感染すると、症状がほとんど出ないか、出たとしても軽い風邪程度で済むことがほとんどです。このため、多くの人が知らないうちにEBウイルスの抗体を持っています。

思春期以降に感染した場合、発症率は50%になりますが、それでも数週間で症状がおさまる人がほとんどです。このように、若いうちに感染して抗体を持つ人が増えていくので、20代になると90%以上が抗体を持っていると考えられています。

発症する可能性がある合併症について

伝染性単核球症の主な症状は、強いのどの痛みと高熱です。他に体のだるさが非常に重くなったり、リンパ節が腫れたりする症状もありますが、これらすべての症状があらわれるわけではありません。また、症状の程度には個人差があります。

感染したばかりの頃は、体のだるさや疲れやすさを強く感じやすく、その後発熱などの症状が出ます(発熱すると、39.5℃以上の高熱になることも珍しくありません)。また、50%の人には脾臓の腫れがみられます。脾臓が腫れても特に症状はありませんが、激しいスポーツをしたときに脾臓が破裂することがあります。

同時に肝臓も腫れることがあり、その場合は黄疸が出ることがあります。まれに、けいれん発作や神経の損傷、行動異常、脳炎、髄膜炎、貧血、腫れたリンパ節による気道の閉塞といった合併症の可能性もあります。

感染が疑われたら、どう対処すれば良い?

伝染性単核球症が疑われる症状がみられたら、早めに医療機関を受診する必要があります。風邪の症状と似ていますが、伝染性単核球症を発症すると合併症を起こす恐れがあるためです。
治療は、症状が重い時期は安静にするようにして、発熱と痛みの緩和に非ステロイド性抗炎症剤やアセトアミノフェンを使用します。喉の腫れがひどい時は副腎皮質ステロイドを使い、気道が塞がるのを防ぎます。脾臓の腫れは、症状が落ち着いても1カ月ぐらいは激しいスポーツを控え、脾臓の破裂を防ぎましょう。

再発を繰り返すときは慢性活動性EBウイルス感染症や溶連菌感染症に注意

通常、EBウイルスに一度感染すると、体内でウイルスに対する抗体ができあがるため、伝染性単核球症は一度しか発症せず、多くは数日から一か月で症状は改善します。

しかし、中には再発を繰り返したり、長期間症状が全く改善しないこともあります。このような場合には、EBウイルスに感染することでリンパ球などの免疫細胞の働きが抑制される慢性活動性EBウイルス感染症や、伝染性単核球症と非常によく似た症状を引き起こす溶連菌感染症の可能性があります。これらは、伝染性単核球症とは全く異なる病気であり、適切な治療を行わないと腎不全や髄膜炎、脳炎など重篤な合併症を引き起こすことがあります。
このため、再発を繰り返す場合や長期にわたって症状が続く場合には、早期に検査・治療を受けるようにしましょう。

おわりに:高熱や体のだるさが続いたら、念のため医療機関の受診を

伝染性単核球症は風邪とよく似た症状のため、そのうち治ると考えてしまいがちな病気です。しかし、放置すると脾臓の腫れや黄疸など、合併症を併発する恐れがあります。大事に至らないよう、疑わしい症状がみられたら医師の診察を受けましょう。

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