腹壁瘢痕ヘルニアの術後に生じることがある“メッシュ感染”とは?

2018/1/29

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

腹壁瘢痕ヘルニアとは、手術やケガなどの傷あとが原因で筋膜の隙間から腸などの内臓が飛び出してしまう病気です。根本治癒には手術が必要不可欠であり、手術には自己組織を使う方法とメッシュを使う方法があります。この記事では、腹膜瘢痕ヘルニアの手術について解説しています。また、メッシュ感染の解説もしているので、治療選択の参考にしてください。

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腹壁瘢痕(ふくへきはんこん)ヘルニアとは?

 

ヘルニアとは、臓器などがあるべき位置から脱出したり、突起したりしている状態のことをいいます。おなかの手術の傷跡(瘢痕・はんこん)は、傷がない部分に比べて弱いため、この部分から内臓が脱出した状態になるのが腹壁瘢痕ヘルニアです。おなかの表面が膨らんで見え、いきむとさらに膨らみが大きくなります。
手術によるおなかの傷口は、手術のおわりにしっかりと縫い合わせますが、その後、肥満や喫煙、緊急手術、手術後に傷が膿んだなどが原因で腹壁ヘルニアを起こすことがあります。これは、おなかの筋肉のまわりについている筋膜や腱膜の傷口部分が離れてしまい、すきまから内臓が皮膚の下に脱出してしまうために起こります。

腹壁瘢痕ヘルニアはどうやって治療するの?

無症状のこともありますが、鈍痛や消化不良を引き起こすことがあります。自然に治ることはありませんので、時期を考えて手術を行います。ヘルニア門が小さければ縫合をするだけに終わりますが、大きいヘルニアの場合は別の対応が必要になります。
まれに、突出した腸管が元に戻らなくなるかんとんを引き起こすこともあります。かんとんを生じると、ヘルニアした部分に強い痛みが生じ、腸閉塞が起こってしまいます。かんとんは、緊急手術が必要な病気です。

手術では、自分の組織を使って弱くなった組織を縫い合わせる方法とメッシュを使って弱くなったところを補強する方法があります。
大きいヘルニアに対しては、メッシュを用いて手術を行います。ヘルニアを塞ぐのではなく、メッシュでつぎ当てるような形になり、ヘルニア門の奥にはめこんだ方が再発しにくいといわれています。全身麻酔を行い、1時間程度の手術で、入院は数日から1週間程度必要になります。手術中の剥離が少なく短時間で終えることができ、痛みも軽減されます。
メッシュは人体に埋め込んでも問題が無い素材を使っていますが、まれに感染を起こすことがあります。

“メッシュ感染”について

手術で使うメッシュは、上記でも触れたように細菌感染に弱いというデメリットを持っており、メッシュ感染を起こすと治りづらい傾向があるといわれています。とくにヘルニアの原因が腹部の手術の傷からの感染である場合は注意が必要です。おなかの傷が治っていない場合には傷を完治させることが優先され、ヘルニアの手術が半年から1年程度遅れることもあります。

おわりに:リスクを理解したうえで、医師と相談しながら自分にあった治療法を選択しよう

メッシュ感染のリスクはありますが、メッシュを使った手術はメリットも多い非常に優れた治療法です。適切な治療は、手術を受ける人の症状やヘルニアの進行度、体質、持病の有無などで変わってきます。担当医と相談しながら、納得できる治療方法を選ぶようにしましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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