記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/1/25
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
血友病は、出血が止まりにくくなる病気であり、主に男性に発症するといわれています。原因のほとんどは遺伝といわれていますが、血友病はどのように遺伝するのでしょうか。この記事では、血友病と遺伝の関係性についてわかりやすく解説しています。
血友病は、出血が止まりにくくなる病気です。そもそも私たちの血管は、傷つくと血管が少し縮んで出血を抑え、傷ついた部位には「血小板」がまとまって固まります。ここで「血液凝固因子」が働き、血栓が作られることで出血が完全に止まります。しかし、血友病では血液凝固因子が減少、欠乏しているので血栓がうまくできず、止血の完了まで時間がかかります。
血友病は、大きく分けて2種類あります。血液凝固因子の第Ⅷ因子が減少、欠乏している「血友病A」、第Ⅸ因子が減少、欠乏している血友病Bです。2016年には、血友病Bの患者数が約1100名に達し、そのうちの約98%以上は男性であるといわれています。また、血友病は血液凝固因子の働きの阻害度合いによって、軽症型、中等症型、重症度の3段階に分かれます。
血友病は、60~70%の割合で遺伝により発症するとされており、残りの30~40%は突然変異で発症します。
上記でも説明したように、血友病を発症するのは主に男性です。
女性の発症者が少ない理由は、血友病が女性の性染色体がXXだからといえるでしょう。
血友病の因子は染色体の「X」上に生じます。女性の性染色体はXXですので、片方のX染色体に異常をきたしても、正常な方の染色体が補ってくれるため発症はしません。その代わりに、女性は保因者として血友病の遺伝子を子孫に伝えます。
男性の性染色体はXYなので、X染色体の異常はY染色体で補うことができないため、血友病を発症します。母親から息子に対して、隔世的に発症するため「伴性遺伝」や「X連鎖潜性遺伝」と呼ばれています。
また、まれなケースではありますが、血友病の男性と保因者(原因遺伝子を持っているが、発症はしていない)の女性が結婚すると、娘の約半分が血友病を発症するといわれています。
近親者に血友病患者がいなくとも、突然血友病を発症するケースがあります。「孤発例」と呼ばれます。患者の約3割は孤発例による発症です。孤発例のほとんどは「母親が保因者」との調査結果が海外であります。また、祖父など近い代の男性の生殖細胞の突然変異により、もたらされた可能性が高いとも言われています。近親者に発症した方がおらず血友病になった場合は、孤発症の可能性を考えましょう。
血友病は、その多くが遺伝による発症です。父親が血友病患者だった場合、息子(母親が保因者であれば、まれに娘)で発症する可能性が高まります。疑いがある場合は、医療機関で早めに検査してもらいましょう。