記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/21
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
よく耳にする「胃腸に負担がかかっている」状態は、胃が“荒れた”状態のことで、
・仕事や家事のストレス
・もともと胃腸が弱い
・食べすぎ
という、主に3つの荒れる原因があります。
今回取り上げるのは、
「食べすぎ」による胃腸への悪影響です。
胃腸薬は、確かに、いや、本当にいい薬です。しかし、食べ物を少しだけ変えることも、いい“薬”になります。胃は、食べ物を消化する器官。消化しやすい食べ物を摂取すれば、胃はよろこびます。
胃の働きに役立つ第一のポイントは、食物繊維。食物繊維が豊富な食事は消化に役立ち、便秘を予防してくれるので、たくさん食べることがおすすめ。1日に30g以上の食物繊維の摂取が理想です。
以下に挙げる食品から、1種類から多くではなく、さまざまな種類から少しずつ、食物繊維を摂取してください。
・全粒粉パン
・玄米
・果物
・野菜
・豆
・オーツ麦
穀物に含まれているグルテンで、鼓腸症や過敏性腸症候群を引き起こす人もいます。
その場合は、果物・野菜から食物繊維を摂取してください。
水をたくさん飲むと、胃は消化の働きが高まります。老廃物の消化器の通過を促し、便を柔らかくしてくれます。食物繊維は水を吸収するスポンジのような働きをしますが、液体がなければ、食物繊維は力を発揮することができず、便秘になります。食物繊維と水は2つで1セット。どちらかが欠けると、相乗効果は作用しません。
ポテトチップス、ハンバーグ、揚げ物などの脂肪の多い食品は、消化しにくく、胃の痛みや胸やけを引き起こす可能性があります。しかし、脂肪は美食の元。「あまり食べすぎない」ようにするだけで十分です。
辛い食べ物が好きな人は多いし、辛い食べ物を食べても消化器系に何のトラブルも起こらない人もいます。
しかし、辛い食べ物を食べたときに、お腹の調子が悪くなる人もいます。唐辛子だけでなく、にんにくやタマネギのような「辛味」でトラブルが起きる人もいます。
辛い物を食べて胸やけがし、胃が痛くなったり、下痢になるような場合は、控えるのがおすすめです。すでに胸やけや腸管過敏症のような問題がある場合は、食べるのは完全に控えてください。
トマト、柑橘類、サラダドレッシング、炭酸飲料などの酸性食品で胸やけが起きる人、小麦やタマネギで過敏性腸症候群になる人がいます。
ラクトース(牛乳中の糖分)を消化できなければ、牛乳、チーズ、ヨーグルトといった乳製品を食べた後に、ガスでお腹が張ったり、下痢を発症したりします。
何の食品で胃腸に異常が起きるかは、食べた物の日記をつけることで把握できます。
コーヒー、コーラ、紅茶、炭酸飲料、エネルギー飲料など、カフェインを含む飲み物は、胃の中の酸を増やし、胸やけを起こします。 炭酸飲料はお腹を膨らませる作用もあります。ハーブティー、牛乳、水が胃腸にやさしい飲み物の代表格になります。
プロバイオティクスは、腸内に存在する「善玉菌」で、過敏性腸症候群や下痢をはじめ、あらゆる種類の消化器系の健康に役立ちます。プロバイオティクスは、サプリメントやヨーグルトから摂取することができます。4週間程度、毎日摂取することで効果が現れます。
食べ物による負担を減らすだけで、胃の消化機能は高まります。薬を使わずとも、ちょっとだけ食べ物を工夫すれば、胃の負担は一気に少なくなります。
胃腸にやさしい食生活を心がけましょう。快眠、肌つや、免疫力UPなどなど、メリットがいっぱいです!