記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/2 記事改定日: 2019/2/22
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高尿酸血症とは、血液中に含まれる尿酸の値が高くなってしまう症状です。この記事では、高尿酸血症の状態が続くとどのような合併症を引き起こしてしまうのかについて解説します。
高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が高くなる(7.0mgを超える値)症状です。尿酸は新陳代謝などによってプリン体が分解されたときにできるもので、基本的に体内の尿酸値は一定に保たれています。
しかし、プリン体の多い食事や飲酒、暴飲暴食や肥満、激しい運動などで体内で尿酸が多くなったり、腎臓の病気などで排泄する量が少なくなったりすると、血中の尿酸値が高くなる可能性があり、以下で紹介するようなリスクが伴います。
高尿酸血症になると痛風のリスクが高くなります。
痛風は血液中で溶けきれなかった尿酸が結晶となり、身体の中の関節等に沈着していくことで起こるといわれています。とくに足の親指の付け根は血流も弱く、冷えやすいため、初めて痛風の発作が出やすい場所です。
このほか、アキレス腱やひじ、かかとにも結晶がたまることもあります。
痛風発作の痛みは「風が吹いても痛い」といわれるほどですが、この痛みは結晶となった尿酸がストレスを伴う運動や尿酸値の急激な変化等によってはがれるときに出るものです。
痛みは1週間から10日ほど続き、その後は嘘のように収まります。
尿酸値が高い状態が続くと、尿酸の結晶が増えて皮膚の下に結節ができることもあります。
高尿酸血症と痛風はいずれも血液中の尿酸値が上昇しますが、症状の現れ方などが異なります。
高尿酸血症はその名の通り、血液中の尿酸値が上昇する病気のことで、自覚症状がないものも含まれます。
一方、痛風は、趾や足首、手指などの関節内に尿酸が固まった結晶を形成することで関節内に強い炎症を引き起こす病気です。突発的に非常に強い痛みを発するのが特徴で、炎症を起こした部位が赤く腫れて熱感をもちます。また、結晶が大きくなると手術によって切除する必要があるケースも少なくありません。
つまり、血液中に尿酸が溜まるるものの症状がないものを高尿酸血症といい、高尿酸血症の中で関節に炎症を引き起こすものを痛風と呼ぶのです。
高尿酸血症の状態が続くと、結晶が関節だけでなく内臓にも沈着し始めますが、腎臓はもともと尿酸値が高い部分のため、沈着しやすくなっています。
結晶が付着すると腎臓の働きが鈍くなり、尿酸を排泄する機能が低下します。尿酸が排出されにくくなっているため、さらに結晶化するという悪循環が起こり、その結果腎障害を招いてしまうのです。
高尿酸血症が続くと、腎障害だけでなく、腎臓の機能(血液ろ過機能や老廃物の排泄)も低下して慢性腎臓病を発症し、人工透析や腎移植が必要になる場合もあります。
また、腎臓や膀胱など、尿が通り道に結石ができる尿路結石になる場合もあります。高尿酸血症になると身体が酸性になるため、固い結石ができる事もあります。
高尿酸血症になるとさまざまな合併症を引き起こすリスクがありますが、特に内臓脂肪が多く、高血圧、脂質異常、糖尿病の症状を併発しているメタボリックシンドロームの人の場合、動脈硬化のリスクも高くなります。
動脈硬化になると、心筋梗塞や脳卒中といった病気を引き起こす要因にもなります。合併症として動脈硬化が起こる場合だけでなく、結晶化した尿酸が血管に炎症をおこしその事が原因で動脈硬化にあることもあります。
高尿酸血症を発症すると、痛風や腎障害、動脈硬化といった合併症を引き起こすリスクが高くなります。こうした合併症を防ぐためにも、健康診断などで血中の尿酸値が高めと診断されたら生活習慣を見直して症状の予防に努めましょう。