記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/2
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
日常生活に支障をきたすほど、気分の高揚や落ち込みを繰り返すとき、気分障害の可能性があります。この記事では、気分障害について解説するとともに、治療で使う治療薬について解説します。
気分障害は精神疾患のひとつで、正常な範囲を超えて気分の高揚や落ち込みを何度もくり返します。気分障害は誰もが患う可能性がある病気のひとつで、中でも特に多いのがうつ病です。睡眠障害や漠然とした不安を感じ、何事にも積極的になれず、気分の落ち込みが激しいのが特徴です。うつ病と混同しがちなのが双極性障害で、こちらはうつ病の症状と、気分が高揚した状態をくり返します。気分障害の症状の多くは、この2つ状態であることがほとんどです。心の病は画像診断等で見つけることができないため、発見や治療には本人や家族の協力が欠かせません。まずは精神科で専門医による診察を受ける事が必要です。
適切な薬物療法を早めに受けることは、うつ状態による自殺のリスクを抑える上で重要です。気分障害の治療では、薬物療法が中心となります。うつ病患者の約20%は、回復しても再び症状があらわれています。また、糖尿病や冠動脈疾患といった慢性疾患を患う人の中には、うつ病を発症する人が多いというデータもあります。また、双極性障害の場合は、薬物療法の効果が不安定である場合が多いので、薬の服用には慎重さが求められます。したがって、自分の判断で薬物療法をやめたり、量を変えたりしないで、個々の状態に合わせて服用を続けることが大切です。
うつ状態のとき、脳内神経伝達物質であるセロトニンが減少していると言われており、治療では数種類の抗うつ薬が使われます。ジェイゾロフト®︎やパキシル®︎といったSSRIと言われる抗うつ薬や、トレドミン®︎やサインバルタ®︎等のSNRIは、どちらも副作用の少ない抗うつ薬です。これらの薬では効果が得られなかった場合は、三環系抗うつ薬のアナフラニール®︎やトリプタノール®︎、四環系抗うつ薬のテトラミド®︎やルジオミール®︎といった古いタイプの薬を使用します。これ等の抗うつ薬は、全てセロトニンの再取り込みを阻害する効果があります。
そして双極性障害の躁状態の時にはバルプロ酸®︎やカーバマゼピン®︎を使用し、うつ状態の時にはラモトリジン®︎を使って、気分の安定を促します。
抗うつ薬は、効果があらわれ始めるまでに数週間から数カ月の期間を必要とします。効果を得るためには、自己判断で止めたりせず、十分な量を適切な期間服用することが必要です。
気分障害の治療薬は、いくつかの種類の薬を組み合わせることがあります。中には依存性の強いものや、副作用が強いものがあるので、医師と相談しながら服用することが必要です。
なお、双極性障害で使用されるラモトリジン®︎は、皮膚の湿疹だけでなく、様々なアレルギー反応があらわれる場合があります。また、他の薬との飲み合わせが問題になる場合があるので注意が必要です。
気分障害の治療には、抗うつ薬が処方されます。こうした薬は、個々の様子をみながら最適な量が処方されていますので、自己判断で薬の量を減らしたり、服用をやめたりせず、医師の指示通りに服用を続けましょう。