メタボリックシンドロームの原因とリスク

2018/5/8

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

「メタボ」という名称でも知られる「メタボリックシンドローム」は、男女ともに中高年以降で発症率が上がる傾向にあります。今回の記事では、このメタボリックシンドロームの発症原因や、健康上のリスクについて解説していきます。

メタボリックシンドロームの定義と原因

メタボリックシンドロームとは、内臓肥満に加え、「高血圧」「高血糖」「脂質代謝異常」が組み合わさり、心臓病や脳卒中といった動脈硬化性疾患を引き起こしやすい病態です。ウエスト周囲径が男性は85cm以上、女性は90cm以上の方は、メタボリックシンドロームの疑いがあります。

メタボリックシンドロームの原因は、暴飲暴食や運動不足などによる「内臓脂肪」の蓄積です。脂肪の呼び方は、蓄積している場所によって「皮下脂肪」「内臓脂肪」などとそれぞれ異なります。内臓脂肪とは、消化管で吸収された栄養素を肝臓に運ぶ血管の周辺にある脂肪の総称です。

また近年では、肝臓等の臓器や筋肉など、皮下脂肪や内臓脂肪以外の場所にも脂肪が蓄積することが判明しています。この脂肪は「異所性脂肪」と呼ばれ、内臓脂肪と同様にメタボリックシンドロームの原因になると考えられています。なお、30~50歳代の男性や50歳代以降の女性は、肝臓に異所性脂肪がつく脂肪肝の発症率が高くなるので注意が必要です。

夜遅くの食事にも要注意!

メタボリックシンドロームの原因である内臓脂肪や異所性脂肪は、食べ過ぎによるカロリーの過剰摂取や運動不足が主な原因ですが、特に夜遅くの食事には要注意です。夜遅い時間に食事を食べると太りやすくなるということはよく知られていることですが、これは、脂肪細胞から分泌される食欲抑制やエネルギー代謝亢進の働きがある「レプチン」の作用が低下してしまうことが原因と考えられています。

とはいえ、夜遅くの食事が健康に悪いとはわかっていつつも、毎日の残業で食事の時間が遅くなってしまうなど不可抗力な側面もあるのが現実です。

メタボリックシンドロームが進行すると:①動脈硬化が促進される

メタボリックシンドロームが進行すると、内臓脂肪がどんどん蓄積されていきます。すると蓄積された内臓脂肪から脂質が大量に放出され、中性脂肪が増加したり、動脈硬化を防ぐ善玉のHDLコレステロールが減少したりするようになり、結果的に動脈硬化の危険性が高まります。

なお、同じ脂肪細胞でも皮下脂肪は細胞の中に脂肪が閉じ込められた状態ですが、それに比べて内臓脂肪は合成と分解が盛んで、内臓脂肪が増えるとすぐに血液中に放出されます。そのため血液中の脂質が増加し、中性脂肪が増え、善玉のHDLコレステロールが減少するわけです。この状態を脂質異常症(高脂血症)といい、動脈硬化が進んでしまう原因となります。そしてこの動脈硬化が、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患(心臓病)を招く主要因なのです。

メタボリックシンドロームが進行すると:②糖尿病につながる

メタボリックシンドロームが進行すると、糖尿病につながることがわかっています。その直接的な原因は、脂質代謝や糖代謝を円滑にする働きがあるアディポサイトカインの分泌異常です。

アディポサイトカインにはいくつかの物質がありますが、糖尿病の発症に関連する物質としては、傷ついた血管壁を修復して動脈硬化を予防し、インスリンの働きを高める作用がある「アディポネクチン」、インスリンの働きを妨げる「TNF-α」があります。内臓脂肪が増えると、アディポネクチンなどの物質の分泌が減少し、TNF-αなどの不都合な物質の分泌が増えることから、糖尿病の発症リスクが上がることが想定されています。

おわりに:重篤な病気を招くメタボリックシンドローム。早めに生活習慣の改善を!

メタボリックシンドロームは、糖尿病などの生活習慣病や心筋梗塞などを引き起こす可能性もある状態です。原因となる内臓脂肪や異所性脂肪を徐々に減らしていくよう、夜食は控え、バランスの良い食生活と運動習慣を心がけましょう。

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