原発性胆汁性胆管炎の薬物・食事療法について

2018/1/31

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

原発性胆汁性胆管炎は、もともと原発性胆汁性肝硬変と呼ばれていた病気です。自覚症状がみられないこともある病気ですが、進行すると黄疸や肝硬変を引き起こすこともあります。この記事では、原発性胆汁性胆管炎と診断された場合の治療法について解説します。

原発性胆汁性胆管炎はどんな病気?

原発性胆汁性胆管炎は、かつては肝硬変になって初めて診断されることが多かったため、原発性胆汁性肝硬変と呼ばれていました。しかし、現在は肝硬変になる前に診断され、治療を始める方が多いため、現在の病名に変わっています。実際、早期治療のおかげで肝硬変まで進行せずに過ごしている方もたくさんいる病気です。
原発性胆汁性胆管炎は、肝臓にある胆管が徐々に破壊されて胆汁の流れが悪くなり、肝臓の中に胆汁が溜まってしまう病気です。症状としては、胆汁がうっ帯することによる皮膚のかゆみや黄疸があります。また、脂質異常症に関係する皮膚の黄色腫や肝腫大、カルシウムとビタミンDの吸収障害による骨粗鬆症が起こることがあります。しかし、原発性胆汁性胆管炎と診断される人のうち、3分の2には症状があらわれず、健康診断などで初めて発覚します。

原発性胆汁性胆管炎の薬物療法について

原発性胆汁性胆管炎を発症する原因がまだ明らかになっていないこともあり、確立した治療はまだありません。ただ、ウルソデオキシコール酸®︎を使った治療を行うと効果があることがわかっています。ウルソデオキシコール酸®︎は肝臓の機能を助けるとともに、肝臓障害の進行を抑える作用があります。
その他の症状には、対処療法が行われます。皮膚のかゆみに関しては、コレスチラミンという薬剤が使用されます。
骨粗鬆症に対しては、予防的な効果と進行を抑制するために、カルシウムとビタミンDのサプリメントやビスホスホネート、ラロキシフェンなどが使われます。

食事療法について:どんなことに気をつければ良いの?

原発性胆汁性胆管炎の治療では、食事の工夫も大切です。胆汁の分泌が悪くなっているため、脂肪分の少ない食事をとるように心掛けましょう。胆汁には脂肪を分解する役割がありますが、この病気を発症すると胆汁の分泌が悪くなり、脂肪の分解能力が弱くなるためです。特に、黄色腫や高コレステロール血症がある時は、高脂血症の方向けの食事を摂るのが望ましいです。
また銅の含有量の多い貝類、レバー、キノコ類、チョコレートも避けたほうがよい食品です。骨粗鬆症の予防のためには、適度な運動に加えてカルシウム、リン、亜鉛などのミネラルを十分に摂ることも大切です。

早めの治療で合併症を防ぐことが大切

原発性胆汁性胆管炎は、症状が出ていない段階の場合は比較的予後が良いとされています。しかし、発症から5年を経過すると20~30%の人に症状がみられるようになり、黄疸があらわれる段階にまで進行すると、治療を始めても病状の進行を食い止めることが難しく、かつ、予後が悪い状態になってしまう可能性があります。ここまで進行すると命に危険が及ぶこともあるため、できる限り早めに治療を開始することが大切です。

おわりに:薬物療法と食事療法で、原発性胆汁性胆管炎を治そう

原発性胆汁性胆管炎は、早期に治療すれば、病状が悪化することを予防したり、進行を遅らせることができます。また、食事については脂肪分や銅の含有量が多い食品を控えることが大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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