非結核性抗酸菌症の投薬治療には副作用があるって本当?

2018/1/31

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

非結核性抗酸菌症は、結核と同じ菌を吸い込んだために発症する病気です。この病気は薬を服用して治すことが多いのですが、治療中に副作用が出てくることはあるのでしょうか。非結核性抗酸菌症の症状とともに解説します。

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肺非結核性抗酸菌症の原因・症状とは?

非結核性抗酸菌症は、土壌や水、ほこりなどに生息している結核と同類の菌(まとめて抗酸菌といいます)を吸い込むことで発症する病気です。その中で肺に感染することが最も多く、肺非結核性抗酸菌症といいます。この病気になりやすいのは、肺の基礎疾患があったり、体の免疫力が落ちていたりする人と言われていますが、最近では健康な中年の女性にも多く見られるようになっています。
この病気の症状として咳や痰などがありますが、進行した場合は喀血や呼吸困難になることもあります。場合によっては死に至ることもあり、注意が必要です。また、非結核性抗酸菌症は自覚症状がないことも多いので、この病気の可能性がある場合は、はっきりした症状がなくても病院で検査を受けたほうが無難です。この病気の知識を豊富に持つ医師がいる呼吸器内科や、副作用を含めてさまざまな症状に対処できる総合病院を選ぶと、正確な診断はもちろん、その後の治療の効果が期待できます。

非結核性抗酸菌症の治療はどのように行うの?

非結核性抗酸菌症の治療は、薬物療法を行うことが多いです。通常は抗結核薬を含む3種類の薬を毎日服用し、少なくとも1年半くらいは続けます。ただ、この病気は薬を服用しても完治しにくいと言われているだけでなく、薬の副作用で発疹や聴力・視力障害、肝機能障害などが生じる可能性があります。
炎症が1個所の場合や症状が軽減しないときは、手術を行うこともあります。症状が軽い場合には、薬を使わずに経過観察することもあります。また結核の場合と異なり、非結核性抗酸菌症は人から人へうつる可能性がないので、家庭でも職場でも普通に過ごすことができます。
この病気は完治しにくいので、症状が軽減しても再発の有無を調べるために、定期的に検査することが大切です。

投薬治療による完治が難しい理由と対処法について

非結核性抗酸菌症が投薬治療では完治しづらい理由は、他の病気で体の免疫力が落ちていたり、免疫力を下げる薬を服用している場合が多く、薬の効果を得にくいためと考えられています。また、投薬治療で副作用が出ると、薬での治療がしにくくなることもあります。投薬治療が難しいときは、可能であれば手術を行ったり、症状がそれほど重くない場合には経過観察で様子を見たりします。
非結核性抗酸菌症を治療する上で、体の免疫力を高めることも大切です。規則正しい生活や十分な睡眠、適度な運動やバランスのとれた食生活、ストレスの解消を心がけ、体調の改善を目指しましょう。また、再発予防として、ほこりを吸わないようにマスクを着用することも重要です。

おわりに:薬の服用中に副作用が出たら、主治医に相談を

非結核性抗酸菌症の治療は薬物療法が中心となりますが、服用中に発疹や聴力・視力障害、肝機能障害といった副作用が出てくる可能性があります。治療中にこのような症状がみられたら、自己判断で薬の服用をやめないで、主治医に伝えて的確な指示をあおぎましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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