ダンピング症候群の対処法を種類別に紹介します

2018/1/30

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ダンピング症候群とは、消化管の疾患などにより胃を切除した後に、食べた物が胃でうまく消化できずに小腸に流れてしまったために発症するものです。ダンピング症候群を発症すると、どのような症状があらわれるのでしょうか。この記事では、症状と対処法について解説します。

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ダンピング症候群とは?

ダンピング症候群とは、消化管の疾患などにより胃を切除した後に、食べた物が胃で十分消化できないまま小腸へ流れ込んだためにさまざまな症状をもたらすものです。
胃を切除する範囲や部位によって症状は異なりますが、ダンピング症候群の場合は、胃から十二指腸へとつながる経路にある「幽門」という部位を切除すると発症しやすくなります。症状が現れる時間から、早期ダンピング症候群と晩期ダンピング症候群の2つに分類されます。早期ダンピング症候群は食後30分以内に発症するもので、比較的多く見られるタイプです。一方、晩期ダンピング症候群は食後2~3時間後に発症するものです。

どんな症状が現われるの? 予防法は?

ダンピング症候群の代表的な症状を分類別に紹介します。
早期ダンピング症候群は、食後5~30分で動悸や冷や汗、めまいや全身倦怠感などのほか、腹痛や嘔吐、吐き気、下痢などがみられます。一方、晩期ダンピング症候群では、食後2~3時間で頭痛や全身倦怠感、めまいや冷や汗などのほか、頻脈や呼吸速拍などがあります。
これらの症状は、食べた物が急に小腸へ流れ込むことが原因となっています。このため、予防法として重要なことは、たとえば1回あたりの食事量を少なくして、こまめに食べるようにすること、十分な時間をかけて咀嚼し、飲み込むようにすることです。また、高タンパク低脂肪、炭水化物の摂り過ぎに注意することも大切です。

早期ダンピング症候群になったら、どう対処すれば良い?

早期ダンピング症候群の症状は、浸透圧の高い食べ物が急に小腸へ流れ込み、腸管のぜん動運動が活発になるのがきっかけで発症します。腸管から血管拡張を促す物質が分泌された結果、冷や汗やめまいといった症状が起こりやすくなるためです。したがって、このような症状が現れた場合は無理をせず、しばらくの間は安静にしましょう。比較的短時間で、症状が改善することが多いです。ただ、場合によっては薬を服用して症状の改善を試みることもあります。

晩期ダンピング症候群の対処法は?

一方、晩期ダンピング症候群の症状が引き起こされるきっかけは、炭水化物を多く含む食べ物が急に小腸へ流れ込むことで血液中の糖分濃度が急上昇し、その反動で大量のインスリンで糖分濃度が下げられることです。急激に血糖値が下がるために低血糖状態を起こしやすい状態になり、結果として発汗やめまい、頻脈といった症状が起こりやすくなります。
したがって、このような症状が現れた場合は、何よりもまず糖分を補給することが重要です。氷砂糖や飴、ジュースなどを摂取しましょう。しかし、状況によってはブドウ糖補給の目的で点滴を行うこともあります。なお、予防法のひとつとして、食後2時間くらいを目安にエネルギー補給をすることも有効です。

おわりに:発症のタイミングで対処法が異なる

ダンピング症候群は、発症が食後30分以内かどうかで対処法が異なります。食後30分以内に発症する早期ダンピング症候群の場合は、しばらく安静にして過ごしましょう。一方、30分以上経ってから発症した場合は、晩期ダンピング症候群が考えられますので、糖分を補給してください。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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