歯ぎしりの治療にボトックスが使われるようになっている!?

2018/1/30

記事監修医師

日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科

川俣 綾 先生

歯ぎしりは、歯に大きな負担をかけるだけでなく、顎関節症や肩こり頭痛の原因になることもあります。マウスピースや歯列矯正、咀嚼筋マッサージなど様々な治療法がありますが、最近はボトックス治療を選択する人が増えているといわれています。この記事では、ボトックスによる歯ぎしり治療にちて詳しく解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

歯ぎしりの症状・原因・一般的な治療法

歯ぎしりにより、歯に負担がかかることで、歯が摩耗したり、割れてしまったり、詰め物が外れてしまったりします。また、歯以外にも、歯周病が悪化したり、頭痛や肩こりの原因になることもあります。

歯ぎしりが発生する原因はまだ正確には解明されていませんが、歯並びやかみ合わせ、ストレス等が原因ではないかといわれています。一般的には、マウスピースをすることで歯ぎしりのストレスから歯を守ることができると考えられていますが、マウスピースには歯ぎしり自体を抑える効果はありません。その他として、咀嚼筋をマッサージして筋肉をほぐす方法もありますが、現在はボトックス治療を選択するケースも増えているといわれています。

歯科医院で受けられる、歯ぎしりのボトックス治療とは?

ボトックス治療は、A型ボツリヌス毒素というボツリヌス菌から抽出されたタンパク質を利用したものです。ボトックスを注入すると筋肉が一定期間麻痺を起こします。歯ぎしりは、あごのかみ合わせ部分の筋肉(咬筋)にボトックスを注射し、麻痺の作用を利用することで治療します。また、ボトックスは顎関節症の治療にも使われます。顎関節症は、口を動かすとガクガクという音がなったり、口を開けるときに痛みが出る病気です。ボトックスを咬筋に注射することで治療します。

ボトックス治療の効果はどのくらい続くの?

ボトックスによる歯ぎしりの治療効果には個人差がありますが、一般的には3~6ヶ月続くといわれています。ボトックス治療の効果がなくなる前に再治療を行うことが理想されています。ただし、ボトックス治療を継続していくことで歯ぎしりの症状がなくなる場合もありますが、何度もボトックス治療を行うと効果の継続期間が短くなる場合があることは留意しておきましょう。

ボトックス治療のメリットと注意点

ボトックスは、歯ぎしりや顎関節症の治療以外にも有効とされています。ボトックス治療の対象となる症状として挙げられるものは、睡眠時無呼吸症候群、ガミースマイル、あごにできる梅干しシワなどです。ちなみに、ガミースマイルとは笑ったときに歯茎が見えることで、上唇が上がりすぎることが原因で起こります。そのため、上唇を動かす筋肉にボトックスを注入して筋肉を麻痺させることで治療効果が期待できるといわれています。

ボトックス治療は、自由診療になり、治療を受ける医院によって値段も変わってきます。治療のメリットとデメリットと費用については必ず事前に説明してもらい、十分納得できるまで検討しましょう。また、どこの筋肉にボトックスを注射するか、どの程度注射するかによって仕上がりが大きく変わりますので、治療の際には医師としっかり相談することが大切です。

おわりに:事前説明は必ずしてもらい、医師と相談しながら自分にあった適切な治療を!

歯ぎしりで悩んでいる人は多いといわれています。歯ぎしりの治療法は、マウスピースを活用したものや、ボトックス治療など、さまざまなものがあります。ボトックス治療は効果に個人差はあるものの、歯ぎしりの症状を解消できる場合もあるため、それぞれのメリット、デメリットを理解したうえで、自分に合った治療法を選びましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

関連記事

この記事に含まれるキーワード

治療(461) 歯ぎしり(11) 歯列矯正(3) マウスピース(5) ボトックス治療(2) かみ合わせ(2)