水頭症の治療法「シャント手術」と「第3脳室底開窓術」について

2018/1/29

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

水頭症とは頭蓋内に脳脊髄液が過剰に貯留する病気です。進行して脳への圧迫が強くなると、頭痛や嘔吐、尿失禁や物忘れなど様々な症状が現れます。この記事では、水頭症の治療法である「シャント手術」と「第3脳室底開窓術」について解説しています。

水頭症はどんな病気?

水頭症は、頭蓋内に脳脊髄液が溜まりすぎる病気であり、脳が圧迫を受けたり頭蓋内の圧が高くなったりします。
脳脊髄液とは、頭の骨の中で柔らかい脳を浮かべている無色透明の液体で、1日あたり約500ml造られています。脳脊髄液は循環していますが、流れが遮断されたり吸収が悪くなったりすると頭の中に過剰に溜まってしまい脳の働きが悪くなります。

クモ膜下出血、脳出血などの脳血管障害、脳腫瘍、細菌性髄膜炎などの感染性の脳疾患、頭部外傷、先天性の脳奇形などが主な原因です。症状としては、慢性の場合は頭痛や歩行が不安定になったり、物忘れが目立つようになったり、尿失禁が出現したりします。急性の場合は激しい頭痛と嘔吐に引き続き意識障害やけいれんなどがおこり生命の危険につながります。

シャント手術について

シャント手術は、シャントチューブと呼ばれる細い管を用いて、頭以外の部分へ脳脊髄液を流す治療法です。お腹へ流す仕組みである脳室-腹腔シャント(VPシャント)、血液に直接戻す仕組みである脳室-心房シャント(VAシャント)などがあります。日本では、V-Pシャントが行われるケースが多いといわれています。

このV-Pシャントでは、頭蓋骨に小さな穴をあけて頭蓋骨と脳の間の膜を開き、脳室カテーテルを側脳室(左右に一つずつある側脳室のうち通常右側)に挿入します。皮下にシャントシステムを通すため頸部と側腹部に小切開を加え、脳室の圧を調節するバルブを所定の位置に挿入した後、トンネル状の手術器具を使って耳の後ろ、首、胸の皮下に腹腔カテーテルを通します。
皮下に通したカテーテルと脳室カテーテルを接続し、脳室からの脳脊髄液の流出が良好なことを確認したうえで、腹膜を小切開して腹腔内に腹腔カテーテル端を挿入します。これで脳脊髄液は脳室からチューブを通って腹腔内へ流れ込み、腹腔内では腹膜から液が吸収され体の中の循環にもどります。

なおカテーテルそのものは体に悪影響を及ぼさず、半永久的に使うことができるとされています。ただし、正常に機能しているかどうか定期的なチェックが必要です。

シャント手術以外の方法について

シャント手術では、管が詰まることにより急に具合が悪くなったり、流量調節がうまくいかず脳と骨の間に血液がたまってしまったりするおそれがあります。
第3脳室底開窓術は、神経内視鏡を用いて第3脳室の床に小孔を開け、風船つきのカテーテルで拡大する手術で、シャントの管などの異物を頭の中に残さず、より生理的な髄液の循環状態にすることができます。ただし、神経内視鏡という新しい器具を用いるため、熟練した医師による執刀が望ましいといわれています。

おわりに:早期発見が回復につながる。疑わしい症状があるときはすぐに医療機関へ!

水頭症の病態は少しずつ解明されつつあり、第3脳室開窓術など先進技術も絶えず開発されているため、症状改善の見込みは大きいといえるでしょう。歩行障害や尿失禁といった症状がある場合は、なるべく早く精度の高い診断を受け、正しい治療を行うことが大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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