ライソゾーム病の治療方法について

2018/2/6

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ライソゾーム病は、生まれつき遺伝子に欠損があり、細胞内で発生する老廃物を分解する酵素を作り出せないことが原因で発症する病気です。この記事では、ライソゾーム病の症状とともに、治療法について解説します。

ライソゾーム病とは

人間の細胞の中にはライソゾーム(リソソーム)という小器官があり、不要になった糖分やタンパク質などを分解する役割を担っています。そのためには分解酵素の力が必要ですが、遺伝子に欠損があると生まれつき分解酵素を作ることができず、細胞内に老廃物が溜まっていきます。その結果発症する病気がライソゾーム病で、10万~20万人にひとりが発症する難病のひとつです。
ライソゾーム病は劣性遺伝子によって起こります。病気の遺伝子を持っている人同士が結婚したとき、一定の確率で発症します。病気の遺伝子を持っているかどうかは、遺伝子検査をしないとわかりません。病気の原因は細胞内に溜まった老廃物なので、生まれたときは異常がほとんど見られませんが、成長するにつれて症状が出てきます。重症になると、幼くして命を失ったり、発達に遅れが出たりすることもあります。

ライムゾーム病の種類によって治療法は異なる

ライソゾーム病は、欠損している酵素の種類によって細胞内に溜まる老廃物の種類も異なるため、さまざまな症状があらわれます。現在のところ、約60種類のライソゾーム病があると言われています。
代表的なものとして、ゴーシェ病やポンぺ病、ファブリー病が挙げられます。ゴーシェ病は、肝臓の腫れや貧血、血が止まりにくくなる症状がみられます。ポンぺ病は筋肉が発達せず、首が座らなくなります。そして、ファブリー病は発汗しづらい、四肢が痛むといった症状がみられます。このほか、ムコ多糖症Ⅰ型~Ⅶ型として、骨の発育が遅れたり、関節が変形したり、性格が攻撃的になったりする症状が知られています。
このため、ライソゾーム病は症状によって治療方法が異なります。酵素の種類によっては比較的治療しやすい場合もありますが、まだ研究が進んでいない病気もあります。したがって、すべてのライソゾーム病が治療の対象になっているわけではありません。

ライソゾーム病の治療法

ライソゾーム病の治療法のうち、酵素補充療法は欠損している分解酵素を後天的に補充する方法です。ゴーシェ病、ポンぺ病、ファブリー病と、一部のムコ多糖症に適用されます。副作用の比較的少ない方法ですが、脳や角膜には効果が及ばず、また点滴を一生続けなければなりません。
造血幹細胞移植は、骨髄や臍帯血から健康な幹細胞を移植する方法で、一部のムコ多糖症に適用されています。中枢神経系にも効果が期待でき、成功すれば治療が不要になるというメリットがあります。そして、基礎削減療法では、できるだけ老廃物が蓄積しないよう、元になる物質を薬で減らす方法です。
いずれの場合も、早めに治療を始めることが大切です。
シャペロン療法は薬によって酵素を活性化させ、病気の進行を遅らせる方法です。ゴーシェ病やファブリー病で、臨床試験が行われています。
遺伝子治療は正常な遺伝子を導入して根本的に治療する方法ですが、現在のところ臨床段階にとどまっています。

おわりに:ライソゾーム病の治療では、酵素補充療法や造血幹細胞移植などが行われる

ライソゾーム病は、欠損している分解酵素の種類によって症状が変わります。治療では、酵素補充療法や造血幹細胞移植などが行われています。また、臨床段階ではあるものの、遺伝子治療も始まっています。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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