胆石は食事で予防や治療ができる?食べていいものや悪いものはある?

2018/2/6 記事改定日: 2020/2/27
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

胆石症の治療では食事のコントロールが必要ですが、具体的にどのようなものを食べればよいのでしょうか。胆石の治療や予防のために、食べた方がいいものと控えたほうがよいものを紹介します。おすすめレシピも紹介するので、毎日の食事のメニュー作りの参考にしてください。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

胆石になると食事療法が必要なのはなぜ

胆石症になると、胆石によって胆汁のうっ帯が起こるため、胆汁が出すぎない食事を心がける必要があります。

胆汁は脂肪や油を分解する酵素です。体内に脂肪分が入ってくると、それを消化しようという信号が出て、胆嚢から胆汁が分泌されます。
つまり、脂肪や油が少ない食事にすると胆汁の分泌量が減ることになり、胆石の悪化予防につながるということです。
脂肪分と同じように、以下のようなコレステロールの高い食品、脂肪分・油が多い食品できるだけ避けることをおすすめします。

  • 鶏手羽
  • レバー
  • ウナギ
  • イカ
  • バター
  • ドーナツ
  • 天ぷら

また、アルコール、コーヒーなどの刺激物なども避けておくほうが無難です。ただし、全く脂肪分や油を摂らないような極端な食事制限はしないでください

水分をたくさん摂ったほうがいいのはなぜ?

胆石の多くは食生活の乱れや肥満など生活習慣の悪化が原因で引き起こされます。
そのなかでも忘れられがちなのが「水分摂取」です。胆石はコレステロールなどが結晶化してできるため、水分が不足すると凝縮して結晶化しやすくなり胆石ができやすくなります。また、水分不足による便秘も胆石を引き起こす原因となります。

このため、胆石の改善や予防のためにはこまめな水分摂取を心がけ、脱水にならないよう注意することが大切です。

胆石治療中におすすめの食事は?

胆石のときや治療中におすすめの食べ物は、水溶性の食物繊維が豊富な野菜や豆類、食物繊維とビタミンが豊富な果物などがあります。胆石症の痛みが強くて普通の食事が食べられないときは、最初は流動食など食べやすいものから食べ始め、少しずつ固形物に近づけるようにしましょう。

おすすめの食品

野菜
  • ほうれん草
  • にんじん
  • かぼちゃ
  • サヤインゲン
  • ごぼう     など
豆類
  • 小豆
  • 大豆(豆腐や納豆などの大豆製品も可)      など
果物
  • リンゴ
  • バナナ
  • オレンジ
  • グレープフルーツ     など
その他
  • 海藻類
  • 玄米
  • 全粒粉のパン   など

胆石は食事に気をつけるだけで予防できる?

胆石症は、食生活に気をつければ予防できる病気と考えられています。そのためには、胆石の食事療法と同じように、脂肪分とコレステロールを控えて、水溶性食物繊維をできるだけたくさん食べるようすることが大切です。

胆汁酸の合成にはビタミンCが不可欠ですので、ビタミンCを多く含む果物や野菜を摂り、水分を十分に摂るようにしましょう。そして、肥満にならないように食べ過ぎに注意することも大切です。

胆石が治ったあとも食事に気をつけた方がいいの?

胆石症の治療で胆嚢を切除してしまうと、胆汁を一時的に保管しておく場所がなくなります。それでも胆汁は通常通りには分泌されるので、普通の食事内容であれば大きな問題は起こらないでしょう。

ただし、一気に大量の脂肪分を摂ってしまうと、胆汁の分泌が追い付かずに下痢を起こすことがあります。このため、治療が終わった後も脂肪分とコレステロールを控えた食事内容を心がけることが基本です。

このほか、塩分と糖分もカルシウム結石を作る元になるので、控えめにしておいた方がよいでしょう。アルコール飲料自体もカロリーが高く、おつまみは脂肪分や塩分が多いものがほとんどなので、できるだけ控えたほうがよいとされています。
また、乳製品はコレステロールが高く、コーヒーは胆嚢を収縮させる作用があるので、控えたほうがよい食品です。治療後もこれらのことに気をつけましょう。

胆石の治療や予防に役立つメニュー作りのヒント ― おすすめレシピをご紹介!

では、胆石の治療や予防にはどのようなメニューを取り入れればよいのでしょうか?ここでは、胆石ケアにおすすめのレシピを3つご紹介します。

野菜たっぷりお蕎麦

たっぷりの野菜は満腹感を得られるだけでなく、カロリーダウン効果もあり、コレステロールが多くなりがちな人におすすめです。
市販のお蕎麦は3/4人前を茹で、ざるに上げておきます。そこに、キャベツ、トマト、水菜、大根などお好みのお野菜を食べやすい大きさに切って乗せ、お好みの麺つゆをかけて出来上がりです。
たっぷりの野菜のお陰で糖質もオフできる主食メニューです。

鶏むね肉のソテー

胆石が気になる人でも、お肉をがっつり食べたいときもありますね。そんなときにおすすめなのが鶏のむね肉です。脂肪分が少なく、ぱさぱさした食感ですが、ひと手間加えるだけでしっとり柔らかなお肉に変身です。
鶏むね肉は一枚を二つに切り分け、両面にたっぷりの砂糖と少々の塩をまぶして、一時間ほど冷蔵庫でねかせます。スライスしたニンニクを油で炒め、よく香り立たせます。そこにねかせたむね肉を投入し、蓋をして蒸し焼きにします。そして、お好みのソースを加えたら完成です。
しっかりと砂糖と塩を揉みこんでねかせるだけで柔らかくジューシーに仕上がり、満足できるメインの一品になります。

豆乳ゼリー

胆石の人は、牛乳や卵を多く摂るのは禁物ですが、豆乳ならヘルシーで問題ありません。デザートには豆乳を使ったメニューを取り入れてみましょう。
豆乳にお好みで砂糖やはちみつを加え、適度な甘みをプラスします。そこにイチゴやキウイ、メロンなどお好みの果物を小さくカットしたものを投入し、分量に溶かしたゼラチンを混ぜ合わせます。冷蔵庫で1~2時間冷やせば完成です。
低カロリーなので量もしっかり摂ることができるおすすめデザートです。

おわりに:野菜や豆類、ビタミンCを豊富に含む食事を心がけよう

胆石症の食事療法では、胆汁が出すぎない食生活を心がけることが大切です。脂肪分やコレステロールが多い食事は控え、野菜や豆類、ビタミンCを豊富に含む果物などを積極的に食べましょう。

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