破傷風の症状や潜伏期間を種類ごとに解説

2018/1/30

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

破傷風は、傷口から破傷風菌が感染することで発症する微生物感染症です。筋硬直や麻痺などが起こり、ひどいときには死に至るケースもあります。この記事では、破傷風の症状と潜伏期間についてまとめています。万が一のときのために、きちんと理解しておきましょう。

破傷風はどんな病気?

破傷風(はしょうふう)とは、破傷風菌に感染することで起こる感染症です。
3~21日の潜伏期間後に現れる筋肉の硬直と痛みを伴うけいれん症状が特徴で、重症になると呼吸器周辺の筋肉が麻痺して、10~20%の確率で死亡します。

破傷風菌は熱と乾燥に強く、世界中の土壌や、人など動物の体内にも潜伏している常在菌であるため、破傷風菌との接触を断つことで感染を予防することは不可能です。

しかし近年では予防接種を受けることで、感染するリスクを下げることができるといわれています。

代表的な4種類の破傷風

破傷風は、潜伏期間や症状が出る程度・部位によって、以下の4種類に分けられます。

全身性破傷風

破傷風全体のなかでも80%を占め、咀嚼するための筋肉の硬直が始まって開口障害を発症し、その後首や胴体、四肢にまで筋肉の硬直とけいれんが広がっていきます。毒素による自律神経異常が見られたり、合併症による長期入院が必要になるケースがあることも特徴といえるでしょう。

局所性破傷風

全身性よりも稀な形態の破傷風で、感染源となった傷口に近い部位でのみ、筋肉のけいれんと硬直の症状が起こるのが特徴です。
予防接種を途中でやめたなど破傷風に対して「部分免疫」を持っている人に起こりやすく、全身性よりも程度が軽いですが、全身性破傷風に進行するケースもあるので注意が必要です。

頭部性破傷風

潜伏期間が1~2日と短く、主に中耳炎など耳の感染症によって頭部、または顔面に症状があらわれるものです。
開口障害はありますが、けいれんよりも弛緩性の脳神経麻痺が起こるのが特徴で、こちらも全身性破傷風の形態に移行するケースがあります。

新生児性破傷風

不衛生な環境での出産の際に、破傷風菌に感染した器具でへその緒を切断することで起こる新生児の破傷風で、発症すると60~90%の確率で死に至ります。
潜伏期間は1~2週間ほどで、特に外傷がないのに母乳の吸入力の低下や開口障害、母乳が飲み込めなくなる嚥下困難などの症状が出るのが特徴です。

破傷風の症状の現われ方について

破傷風菌が出す毒素には、テタノスパスミンという「神経毒」とテタノリジンという「溶血毒」の2種類があり、破傷風によるけいれんは神経毒によるものと考えられています。

以下に、破傷風菌の神経毒による症状の現れ方を、4つの段階ごとにご説明します。

第一期

潜伏期があけて発症し、開口障害が出ます。
首筋が張って口があけにくくなるため食事が困難になり、あわせて寝汗、歯ぎしりなどの症状が現れます。

第二期

開口障害がどんどん強くなり、顔の神経の緊張・硬直が起こります。
これによって額にシワが出たり、無意識にひきつり笑いをしたような表情になる破傷風顔貌と呼ばれる症状が現れます。

第三期

筋肉の緊張や硬直が首や背中の筋肉にまで至り、発作的な強直性けいれんが起こります。
最も命の危険が大きい時期とされ、このときには腱反射の亢進や病的な脊髄反射などの症状も現れます。

第四期

けいれんが収まり、筋肉の硬直や腱反射の亢進などが残った状態となります。
いわゆる山を越えたような状態で、ここまでくると諸症状は徐々に改善していきます。

おわりに:破傷風は怖い。感染リスクは低いが、知識を持っておこう

きちんと予防接種を受けていれば、破傷風に感染するリスクはかなり低いといわれています。しかし、もしものときのために症状の知識を持っておくことは大切です。潜伏期間や症状を理解しておいて、いざというときに備えましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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