骨髄炎はどんな病気なの? ~ 症状・原因・治療法について ~

2018/2/5

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

骨髄炎とは、骨に細菌やカビなどが侵入して発症する病気です。骨髄炎は幼児や高齢者に多くみられる病気と言われていますが、発症するとどのような症状があらわれるのでしょうか。また、治療法にはどのようなものがあるのでしょうか。この記事で詳しく解説します。

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骨髄炎はどんな病気?

骨髄炎とは、骨の組織に細菌や真菌(カビ)などが侵入することがきっかけで発症する骨の感染症です。幼児や高齢者にみられることが多く、特に重篤な疾患がある場合に発症しやすくなります。
骨が細菌や真菌などに感染すると、骨内部にある骨髄が腫れ、骨髄内部の血管が圧迫されやすくなります。血管が圧迫を受けると、骨への血液供給が不十分な状態が続き、場合によっては骨組織の壊死を引き起こしやすくなります。骨組織の壊死が起こると、免疫細胞の働きや抗菌薬などの作用が阻害される要因となるため、感染症の治癒に影響を与える可能性があります。

骨髄炎になると、どんな症状が出てくるの?

骨髄炎の症状には、骨組織の感染に伴う発熱や痛みが多く、そのほかに倦怠感や疲労感、さらには体重減少などが挙げられます。ただ、これらの症状は原因菌の侵入経路や、病態によって現れ方が異なります。たとえば、軟部組織への感染から骨髄炎を発症すると、骨周辺の軟部組織が腫れて痛みが現れやすい反面、発熱はみられないことがあります。また、人工関節や骨折の治療のために挿入した金属から感染すると、感染周囲の持続的な痛みや熱感、発熱といった症状が現れやすくなります。また、このような感染の場合、化膿によって膿が出てくることもあります。

骨髄炎が発症する理由は?

骨髄炎の発症原因として、血流による感染、直接侵入による感染、隣接する骨や組織からの感染の3つのパターンが挙げられます。
血流による感染は、身体の他の部位に感染源があり、原因菌が血流を介して骨髄に感染が広がるものです。この場合、小児では脚や腕の骨に、成人の場合は脊椎に感染が生じやすくなります。なお、脊椎に感染が生じたものを化膿性脊椎炎と言います。
次に、直接侵入による感染は、骨折や手術などの際に原因菌が直接骨髄に侵入するものです。たとえば、ケガをしたときに何らかの汚染された金属などが骨に刺さった場合や、骨折の手術に用いる金属物から感染した場合などがあります。
最後に、隣接する骨や組織からの感染は、癌や糖尿病によって生じた皮膚潰瘍などの傷が原因で感染が広がるものです。特に、高齢者に多くみられる傾向があります。

どうやって治療するの?

骨髄炎の主な治療法として、抗菌薬による治療と手術があります。
抗菌薬による治療は、たとえば血流による感染で骨髄炎を発症した場合に効果的です。原因菌の特定が難しい場合や、個々の病態、症状などに応じて、抗菌薬の種類や投与期間が異なります。
抗菌薬による治療でも改善がみられない場合や、症状が悪化するのを防ぐために、手術が必要となることがあります。たとえば、原因菌による化膿性脊椎炎で膿を出したいときや脊椎の安定性を確保したいとき、あるいは発熱や倦怠感、体重減少などの全身症状が続いていたり、骨組織に壊死が生じている場合などは、症状を改善させる目的で手術が行われることがあります。

おわりに:骨髄炎は細菌や真菌が骨に侵入して発症する

骨髄炎は、細菌や真菌が骨に侵入したために発症する病気で、発熱や痛み、倦怠感などが表れます。治療は抗菌薬の服用が行われますが、骨組織に壊死がみられたり、症状が長引いているときは手術が必要になることもあります。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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