記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/8 記事改定日: 2019/5/13
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
自己免疫性肝炎は、免疫機能が正常に機能している肝臓を攻撃することにより発症する病気です。この病気の治療では、薬の服用とともに食事の改善が必要になってきます。
この記事では、具体的にどのようなことに気をつければよいのかを解説していきます。
人間の体には、外部から侵入してくるウイルスや細菌などを攻撃する免疫系というシステムがあります。このシステムが何らかの原因で誤作動し、自分の体を攻撃することで起きるのが自己免疫性疾患です。
自己免疫性肝炎の症状として、アルコールやウイルスによる肝炎と同じく、黄疸や倦怠感が見られる場合があります。しかし多くは無症状であり、健康診断で初めて発見されることも多い病気です。
放置しておくと、やがて肝硬変や肝臓がんなどの重い肝障害に進行することがあります。
自己免疫性肝炎の治療には、副腎皮質ステロイドが用いられます。早い段階でステロイド剤の内服を始めれば、効果的に病気の進行を止めることができます。
投薬は一定量から始めて検査をしながら徐々に減らしていきますが、すぐに完治する病気ではないので、症状が安定する量のステロイド剤を長期間にわたって服用しつづける必要があります。
副腎皮質ステロイドには食欲を亢進させる作用があり、飲み続けると体重が増加したり、糖尿病や高脂血症にかかる可能性がありので、食事の量や内容のコントロールをする必要があるのです。
また、副腎皮質ステロイドには免疫系の働きを抑制する作用があるため、感染症にかかりやすくなったり、胃潰瘍や骨粗鬆症やムーンフェイスなどの副作用が現れることもあります。
十分な栄養を摂取しつつ、食べ過ぎないよう配慮が必要になるのです。
自己免疫性肝炎になったときは、適度な分量でバランスの良い食事を心がける必要があります。
肝疾患の人の食事では、タンパク質の摂取量を控えめにすることが基本とされています。
そして、便秘を防ぐために、野菜や果物、海藻や芋など、食物繊維を意識的に摂取し、水分を十分に摂ることが大切になってきます。
とくに摂ってはいけない食材はありませんが、毎日3食をきちんと食べて不摂生を避けましょう。
ただし症状には個人差があるため、すべての患者に効果的なメニューはありませんし、病状によっては過度な運動を避けたほうが良い場合もあります。
薬をきちんと服用するだけでなく、具体的な生活習慣に関しても、専門医やかかりつけ医のアドバイスを受けるようにしてください。
自己免疫性肝炎などの肝疾患の人は肝臓に負担がかからない食生活を心がけることが大切です。ここでは肝疾患の人におすすめのレシピを3つご紹介します。
しじみに多く含まれるオルニチンは肝臓の機能を正常に維持する効果が知られており、肝疾患の人はぜひ積極的に摂ってほしい食材の一つです。
しじみは適量をしっかり塩抜きしておきます。鍋で刻んだ長ネギを炒めて風味を出し、そこに水と鶏ガラスープの素、酒、塩コショウなどでお好みに味付けして一煮立ちさせ、しじみを投入して貝が開いたら完成です。
キノコは低カロリーで肝臓の働きをサポートするミネラルが多く含まれていますので、やや太り気味の肝疾患の人におすすめの食材です。特に脂分を一切使わない蒸し料理がよいでしょう。
しめじやえのき、エリンギ、シイタケなどお好みのきのこを手で適当な大きさにちぎります。フライパンで空炒めし、だし汁を投入して蓋をし、きのこがしんなりするまで蒸せば完成です。きのこのうまみが十分に出るので味付けの必要はありませんが、物足りない場合はしょうゆや塩などで味を整えましょう。
牡蠣には亜鉛など肝臓の働きをサポートする栄養素が豊富に含まれています。ソテーにしてしっかり火を通すことで、ノロウイルスなどの感染症もしっかり予防できます。
牡蠣は塩水で良くもみ洗いをして臭みを取り除きます。そこに十分な量の小麦粉をまぶし、良く熱したバターとともにこんがり色づくまで焼けば完成です。さっぱりいただきたいときは、ポン酢を投入するのもおススメです。
自己免疫性肝炎を発症した場合、副腎皮質ステロイドの服用とともに、食習慣の見直しが必要です。主治医の指示通りに薬を服用するとともに、適度な分量でバランスの取れた食事を心がけましょう。