漢方薬を使ったダイエットとは? 普通のダイエットとの違いは?

2018/1/30 記事改定日: 2018/2/28
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

肥満を改善するためにダイエットに励んでいても、思うように結果が出ない人もいるのではないでしょうか。そのような場合には、漢方薬を使って「体質改善」にアプローチをするダイエット法を試してみても良いかもしれません。
この記事で、太りにくい体質づくりをサポートすると考えられている漢方薬を使ったダイエットについて見ていきましょう。

漢方医学の視点から見た肥満のタイプについて

「肥満」と聞くと体重や脂肪が増えるという印象がある方も多いかもしれませんが、漢方医学において肥満は原因によって以下の4タイプに分かれます。

1.ストレスによる肥満

ストレスが原因と考えられる肥満を、漢方医学では「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と呼びます。
肝(東洋医学の用語であり、西洋医学で使う肝臓とは異なります)は、自律神経やホルモンバランスを整える作用があると言われており、ストレスによってその働きが悪くなると肥満につながりやすくなると考えられています。

2.毒素による肥満

2つ目は痰湿(たんしつ)と呼ばれる、毒素を溜め込んだことによる肥満について説明します。
痰湿は不摂生な食生活によって消化吸収能力が低下すると余計な水分が身体に溜まることで起こり、漢方医学において一番の肥満原因とされています。

3.血の巡りの悪化による肥満

3つ目は血瘀(けつお)と呼ばれる血の巡りの悪化による肥満についてです。
この肥満は食生活の乱れや血液量の低下によって血の巡りが悪くなり、脂肪が蓄積しやすい体質になることで起こると考えられています。

4.胃腸機能・代謝の低下による肥満

最後は脾胃虚弱(ひいききょじゃく)及び腎虚(じんきょ)と呼ばれる肥満について説明します。
この2つは胃腸が弱くなることや加齢、冷え性による新陳代謝の低下が原因引き起こされる肥満です。

漢方薬を使ったダイエットの目的とは?

西洋医学に基づく欧米のダイエット方法が日本人になかなか効果が現れないのは、欧米人とアジア人でそもそも骨格や体質、食生活が異なるためと考えられています。加えて、西洋医学的なダイエットは、局所的なアプローチが多く、「太る体質」という根本的な原因が改善されないだけでなく、肥満を繰り返す可能性が指摘されています。

一方、東洋医学に基づく漢方を使ったダイエットは体質改善を主な目的としており、体全体にアプローチをしていきます。根本的な原因を改善できるため、リバウンドをしにくくなったり痩せやすい体質をつくることができると考えられています。
ただし、漢方薬を飲むだけで劇的な減量ができるわけではなく、普段の食生活や運動習慣も同時に変えていく必要があることを忘れないようにしましょう。

ダイエットのサポートに使われる代表的な漢方薬と使用前の注意

上の項目で説明した4タイプの肥満には、それぞれに対して効果的な漢方薬があります。それぞれの肥満の改善が期待できる漢方薬を見ていきましょう。
なお、漢方薬を自己判断で服用することは避けてください。漢方薬はあくまで薬であり、体に合っていない漢方薬を服用すると、かえって体調を崩してしまう可能性があります。
ダイエット目的の使用でも、必ず薬剤師や医師への相談を元に処方された漢方薬を服用してください。

肝気鬱結の場合

肝気鬱結には、胃炎、常習便秘、高血圧や肥満に伴う肩こり・頭痛・便秘、神経症、肥満症の改善に効果的とされる「大柴胡湯(ダイサイコトウ)」や、高血圧に伴う症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、便秘の改善に効果があるとされる「柴胡加竜骨牡蠣湯(サイコカリュウコツボレイトウ)」冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、不眠症の改善効果が期待される「加味逍遥散(カミショウヨウサン)」などが主に処方されます。

痰湿の場合

痰湿には、胃腸炎や下痢を改善する働きがある「柴苓湯(サイレイトウ)」や、のどの渇きと尿量の減少がある人の、嘔吐・じんましん・二日酔いのむかつき・むくみ解消に用いられることの多い「茵蔯五苓散(インチンゴレイサン)」が処方されます。
体力が低下している場合には、胃の不快感、胃炎、二日酔いの改善に効果があると言われる二陳湯(ニチントウ)や水様性の下痢、嘔吐、口の渇き、尿量減少の改善に使用される胃苓湯(イレイトウ)が用いられることもあります。

血瘀(けつお)の場合

血行を良くする働きがある「桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)」や「桂枝茯苓丸加ヨクイニン(ケイシブクリョウガンカヨクイニン)」が代表的な漢方薬です。体力が落ちていれば、「当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)」が処方されることもあります。

脾胃虚弱(ひいききょじゃく)及び腎虚(じんきょ)の場合

体に水分がたまってむくみやすい体質の人の肥満解消に用いられることの多い「防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)」や、しびれ、下肢や腰の痛み、むくみ、排尿障害の改善に使われる「牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)」が処方されます。

おわりに:双方をうまく利用して効率良くダイエットしよう!

今回は漢方薬を使ったダイエット法を紹介しましたが、漢方医学に基づいたダイエットが良く、西洋医学に基づいたダイエットが悪いというわけではありません。
両者を上手く組み合わせて、より効果的に減量や体質改善を行いましょう。

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