記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/1 記事改定日: 2018/6/15
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
いびきは、気道が狭くなることで起こると考えられています。深刻に考える人は少ないかもしれませんが、いびきは心身に悪影響を与えたり、重大な病気が隠れている可能性があるのです。この記事では、病院で行われるいびきの治療方法を中心に、いびきのメカニズムと病院治療の重要性について説明しています。
いびきは、寝ているときに呼吸の通り道である気道が塞がれたり、狭くなったりしていることが原因で起きます。
もともと、口蓋垂(のどちんこ)が大きかったり、歯並びや鼻筋がよくなかったりして、いびきが出やすい体質の人もいますが、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎(蓄膿症)、アデノイドなど、耳鼻咽喉科の系統の病気が原因で、いびきをかくこともあります。
また、肥満もいびきの原因です。これは、のどの奥に付着した脂肪が気道を狭くしてしまうことで起こります。その他、酒の飲み過ぎで酔っ払って寝てしまったときに、一時的に気道が塞がっていびきをかくこともあります。
いびきは、周囲で寝ている人への迷惑行為にはなってしまいますが、体への影響については軽く考えてしまいがちになってしまうこともあるでしょう。しかし、就寝時に急に呼吸が止まってしまう「睡眠時無呼吸症候群」の場合は、心身に悪影響が及ぶこともあるのです。
睡眠時無呼吸症候群は、昼間に起きている間も慢性的な睡眠不足となり、集中力の低下など、日常生活に影響が出るほか、自動車の運転中の居眠り運転などで交通事故を起こす危険もあります。
いびきをかきやすい人には、耳鼻咽喉科系のほか、高血圧や動脈硬化、脳梗塞など循環器系の病気が隠れているかもしれません。何らかの心当たりがあれば、早めに病院で診てもらいましょう。
病院でいびきを治療する場合、以下のような方法があり、体質や症状の深刻さなどを考慮し適切な方法が選択されます。
軟口蓋弓(のどの入口)が変形していたり、口蓋垂(のどちんこ)が大きめの人は、いびきをかきやすい体質といわれています。そのため、原因箇所をメスやレーザー照射で除去するなどして、気道を広げ改善をはかることがあります。
蓄膿症や鼻骨の曲がりが原因でいびきが発生している場合は、鼻の外科手術(鼻中隔矯正術)を行います。
専用の装置に繋がった特殊なマスクを通じて、気道へ高圧の空気を送り込む治療法で、気道が多少狭くなっていても、肺へ十分な酸素が入っていきます。おもに睡眠時無呼吸症候群の治療として使われます。
寝ているときに、舌の奥の部分がのどへ沈み込む「舌根沈下」を物理的に防止するため、就寝時にマウスピースで舌の位置を固定するようにして、いびきを防ぎます。
肥満が原因で出ているいびきであれば、食事を改善したり、運動を行うなどダイエットに取り組み、のどの脂肪を減らすことでいびきが改善されることがあります。内科を受診すると的確な指導を得られるでしょう。
いびきを改善するには、生活習慣の改善や減量、医療的な介入以外にもツボ押しや市販のいびき防止グッズを使用して症状を改善することも可能です。
いびきに効くつぼで代表的なものは、小鼻の両脇にある「迎香」、喉ぼとけの両脇にある「人迎」が挙げられます。
また、いびき防止グッズには鼻にあるテープやマウスピースなど様々なものがあり、自身に合うものを選ぶことができます。
しかし、ツボ押しや防止グッズの効果には個人差があり、一時的にいびきを改善する効果が得られたとしても、いびきの原因を根本から解決するものではありません。また、ひどいいびきには効果が見られないことも多々あります。
いびきに長く悩まされている場合には、根本からの治療や生活習慣改善のアドバイスを得るためにも病院を受診して、検査を受けることをおすすめします。
いびきは夜間に近くで寝ている人への迷惑行為になってしまうかもしれませんが、しばしば、寝相や癖の問題とされ、笑い話として軽く片付けられがちです。しかし、睡眠時無呼吸症候群や循環器疾患など、重大な病気が裏に潜んでいる場合があります。一度は医師に相談することをおすすめします。