停留精巣で治療が必要な理由とは?手術はいつ頃行われるの?

2018/2/9 記事改定日: 2019/3/13
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前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

停留精巣とは、精巣が陰嚢に降りてこない状態です。停留精巣は生まれたばかりの子供にみられる先天的な症状ですが、成長したら陰嚢に降りてくるものなのでしょうか。この記事で解説していきます。

停留精巣はどんな状態を指すの?

男の子の精巣と女の子の卵巣は、どちらも生殖腺と呼ばれるもので、もともと同じものです。妊娠2カ月ごろまで精巣と卵巣の区別はありませんが、2カ月を過ぎた頃から生殖腺は精巣や卵巣へ成長し、男性ホルモンや女性ホルモンをつくり始めます。

卵巣は体が成長してもお腹の中に留まりますが、精巣(睾丸)はお腹の中にあったものが、鼠径管(そけいかん・腹部と下肢のつけ根にある管)を通って陰嚢(おちんちんの袋)へと下降してきます。停留精巣とは、この精巣が陰嚢に降りてこない状態のことです。生後6カ月頃までは自然に下降することがありますが、1歳を過ぎると自然に下降することはありません。

停留精巣の治療法

停留精巣は、現時点では手術での治療がすすめられています。

停留精巣の種類は、陰嚢の中に精巣に触ることができるタイプ(触知精巣)と、触ることができないタイプ(非触知精巣)の2種類あります。
触知できる状態かどうかは、精巣が鼠径管内に留まっているか、外鼠径輪(鼠径管の上方の入り口あたりのこと)や陰嚢上部まで下降しているかなど、状況によって異なります。

触知精巣の場合、始めから精巣固定術を行います。下腹部の鼠径管のあたりを2~3cm切開し、精巣を見つけ出します。精巣は血管や精管、筋肉と絡まっている場合があるので、慎重に陰嚢の方に移します。

非触知精巣の場合、もともと精巣がなかったり、極めて小さい場合があるため、おへそのあたりから腹腔鏡で確認します。精巣の状態が判明したら、鼠径部を切開して陰嚢に移します。

早めに治療した方が良い理由は?

正常に陰嚢に下降している精巣と比べると、停留精巣の場合は5倍から10倍ほど精巣がんのリスクが高くなります。

また、精子を正常に産生するためには、精巣の温度を体温よりも1~2度低くする必要があるため、精巣は陰嚢に降りてくる必要があります。しかし、精巣がお腹の中に留まっていると温度が上がってしまうため、精子の産生に異常をきたします。これが精巣がんの原因になるのです。

精巣がんは完治する確率が高いので、治療をして陰嚢内に精巣を降ろし、早期発見できる状態にしておくことが大切です。

同様に、精子の産生が低下してしまうために不妊症のリスクもあります。ただ、不妊に関しては諸説あり、精子の数が少ないことが必ずしも不妊に影響しているとは言い切れないため、それほど神経質になることはありません。

停留精巣の手術はいつ頃行われるの?

停留精巣は、生後6か月頃までは自然降下が期待できるとされています。
しかし、それ以降は自然降下する可能性が徐々に低くなり、放置すると造精機能が障害されたり、将来的にがんを発症する可能性が生じます。
このため、生後6か月を過ぎても降下しない場合には1~2歳頃に手術することがすすめられています。

おわりに:停留精巣を放置すると、精巣がんや不妊のリスクが。子供のうちに治そう

停留精巣は、生まれつき精巣が陰嚢に降りてこない状態です。1歳を過ぎると自然に降りてくることはないため、手術が必要になります。停留精巣をそのままにすると、精巣がんや不妊のリスクが高くなると言われています。このため、子供のうちに治療することが大切です。

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