肛門周囲膿瘍と痔ろうには、どんな関連性があるの?

2018/2/19

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

肛門周囲膿は肛門の周囲が腫れてしまう病気です。痔ろうは直腸と外部をつなぐトンネルができてしまうことで、根治には手術が必要です。痔ろうの発症には肛門周囲膿が大きく関わってりますが、いったいどのような関連性があるのでしょうか。

肛門周囲膿瘍と痔ろうについて

肛門周囲膿瘍とは肛門のまわりが赤く腫れて炎症を起こし膿をもつようになる病気のことです。
比較的浅い箇所にできる膿瘍は激しい痛みが伴い、深い箇所にできる膿瘍は腰に鈍い痛みを伴うことが多いといわれています。
肛門周囲膿瘍の炎症が比較的落ち着いたあと、膿が排出されて肛門の中と外がトンネルでつながった状態になったものを痔ろうといいます。肛門の奥から細菌が入って肛門の周囲が化膿した肛門周囲膿瘍は痔ろうの前段階です。

肛門周囲膿瘍と痔ろうの関係性とは?

肛門周囲膿瘍を発症してたまった膿が、自然に破れるか手術によって切開され膿が排出されると、その結果として歯状線という肛門の小さなくぼみ(肛門陰窩)を入り口として、直腸と肛門を繋ぐトンネルのような管が形成されます。この管は直腸と肛門とを繋いでおり、なおかつ歯状線が細菌の入り口となっているため、自然に完治することが困難です。
痔ろうは下痢気味の人がなりやすく、糖尿病の罹患者にも多くみられるといわれています。

痔ろうの根治手術はどんなタイミングで行うの?

肛門周囲膿瘍の段階で排膿を行ったとしても肛門陰窩というくぼみが残っています。そのくぼみを放置してしまうと再発の可能性が高くなるといわれています。つまり、排膿を行って症状を改善することはできても、肛門周囲膿瘍という病気そのものが解消されているわけではないのです。

痔ろうを根治する手術のタイミングは、切開して排膿が行われた後1~2か月が経過し、痔ろうができた頃を見計らって行われることが一般的です。
炎症が起こり膿がたまってしまうと、その周囲の組織にも炎症が波及していることから組織が硬く脆くなってしまっています。炎症が残っている段階で根治手術を行うと、手術によるダメージが大きくなってしまうおそれがあり、変形などの合併症が起こる危険性がさらに高くなります。

肛門周囲膿瘍と痔ろうの手術を同時にしないことが多いのは何故?

大半の医師は、肛門周囲膿瘍と痔ろうの手術を同時に行うことを避けるといわれています。その理由は「同時に手術を行えなくということはないが、再発したり余計なダメージが残るリスクがかなり高くなる」ためといわれています。

痔ろうの完治させるには、肛門陰窩を完全に処置する必要がありますが、炎症が強い時期だと肛門陰窩のくぼみが発見できないことがあります。肛門陰窩がわからない状態で手術を行っても効果が得られないばかりか合併症のリスクも高くなってしまうため、同時手術をすることはほとんどありません。

おわりに:肛門周囲膿は痔ろうの前段階。治療のタイミングは医師に相談しよう

肛門周囲膿は、肛門の周りが腫れて膿が溜まってしまう病気です。溜まった膿が自然に排出されたり、膿を出すために切開をすると、直腸と外部をつなぐトンネルができることを痔ろうといいます。2つは関係性が強い病気ですが、合併症のリスクなどを考えると同時に治療することはできません。完治するためには手術が必要になるので、治療のタイミングは担当医に相談しながら決めていきましょう。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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