おしっこが出ない! ~こわい腎臓の病気~

2017/3/21

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

腎臓の病気のほとんどは症状をもたないため、腎臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれています。ここでは、決してめずらしいものではない腎臓の病気を集めてみました。

腎臓の働きと腎臓病

腎臓は、体内の過剰な水分や血液中の毒素を濾過するという重要な役目があります。もし腎臓が機能しないと、老廃物や毒素が体内に溜まってしまうため、体重の増加、息切れ、手足の浮腫(ふしゅ)などの体調の変化が起こります。
また腎臓は、血圧をコントロールするためのホルモンや、赤血球の生成を促進し、丈夫な骨を作るためのホルモンを分泌しています。腎臓へのダメージが深刻な場合、高血圧や貧血、骨疾患につながることがあります。
腎臓病には、大きく分けて腎炎、ネフローゼ症候群や慢性腎不全などの腎臓内科や小児科で扱う病気と、腎ガンや腎結石などの泌尿器科で扱うものがあります。

腎盂腎炎

腎盂腎炎(じんうじんえん)は、膀胱に生息する細菌によって起こる感染症です。腰痛、排尿時の痛み、血尿、にごって異臭のする尿、発熱などの症状がみられます。腎盂腎炎は女性に多く、抗生物質による治療が有効です。

腎臓結石

腎臓結石は、腎臓の片方あるいは両方にできる結晶の塊(結石)です。結石の大きさはさまざまで、砂つぶほどのものから、ゴルフボール大のものまであります。小さいものは尿とともに排出されます。結石自体は深刻な問題ではないものの、男性では激しい痛みを伴います。大きな結石は腎臓で詰まるか、尿管を塞ぐことがあり、腹部の背側や横側に強烈な痛みを伴い、さらに痛みはそけい部にいたることがあります。

慢性腎臓病と急性腎臓病

慢性腎臓病は、ゆっくり静かに進行し、ほとんどは病状が末期近くになるまで自覚症状がありません。定期健診などでの尿検査でみつかることがあります。慢性腎臓病は多くの場合、腎不全へと進んでしまいます。

慢性腎臓病には、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎硬化症、多発性嚢胞腎などがあります。

急性腎臓病は、症状が急激に出て悪化します。腎臓の機能が低下し、尿がまったく出なくなることもありますが、ほとんどは治療によって改善し回復します。急性腎臓病の代表的なものは、急性糸球体腎炎があります。

急性腎障害

急性腎障害(AKI)は、何らかの原因によって急速に腎機能が低下した状態を指します。その程度は、軽度の腎機能の低下から腎不全までとさまざまです。

AKIの多くは、ほかの疾患で入院中の高齢者に合併症としてみられることがあります。

腎細胞ガン

ほとんどの腎細胞ガンは、尿細管の細胞がガン化したものです。尿路の細胞がガン化したものは、腎盂ガンと呼ばれます。

腎細胞ガンでは、食欲不振、体重減少、貧血、発熱などの症状がみられます。さらに赤血球増多症、高血圧、高カルシウム血症を併発することがあります。

おわりに:沈黙の臓器は侮れない!

腎臓病の多くは軽度ですが、それでもなお心血管障害を引き起こすリスクの高い病気です。また、腎不全にいたると透析や腎臓移植などの治療を必要とします。

年々増え続ける腎細胞ガンは、肥満や喫煙が原因とされています。沈黙の臓器は、私たちの生活習慣を改めるように警告を発しているのかもしれません。

この記事に含まれるキーワード

腎臓(26) 腎盂腎炎(17) 慢性腎臓病(12) 急性腎臓病(1) 急性腎障害(2) AKI(1) 腎細胞ガン(1)