腎障害のひとつ「ループス腎炎」の食事療法について

2018/2/26

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ループス腎炎は、全身性エリテマトーデスを発症した人にみられる腎機能障害です。この記事では、ループス腎炎を発症した場合の治療法とともに、食事療法についても解説します。

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ループス腎炎はどんな病気?

ループス腎炎は、全身性エリテマトーデスという病気を持っている人にみられる腎障害です。全身性エリテマトーデスは膠原病(自分の体を必要以上に攻撃をしてしまう病気)の一種で、発症すると体のさまざまな部位に障害が出てきます。ループス腎炎を発症すると腎臓の働きが悪くなり、たんぱく尿や血尿、むくみ、高血圧といった腎炎症状がみられます。20代~30代の若い女性に多い病気です。
以前はループス腎炎から腎不全へと移行して命を落としてしまう人も多かったのですが、現在は透析療法が必要となることが多いものの、早期に適切な治療が受けられるようになっています。

ループス腎炎はどうやって治療するの?

ループス腎炎の治療では、まず薬物療法が行われます。この病気は炎症によって腎障害が起こるため、炎症を抑える力がある副腎皮質ステロイド剤を大量に投与するステロイド大量投与療法が行われます。もしくは、大量に投与したあと、一定期間空けてから再び大量投与を行う治療法(ステロイドパルス療法)が行われることもあります。また、免疫抑制剤のシクロフォスファミドを投与することもあります。
急性期を過ぎて慢性期に入ると、補助的な治療法として食事療法や降圧剤で血圧を下げる治療が行われることもあります。食事療法では腎臓の負担を減らすために塩分とたんぱく質の摂取を抑えます。また、降圧剤は腎臓の中にある糸球体内の圧を下げる目的で使われます。

慢性腎炎の基本的な食事療法について

たんぱく質は腎臓で代謝される時に老廃物が出ます。健康であれば問題になりませんが、腎機能が落ちていると、残っている正常な組織への負担になります。そのため、できるだけたんぱく質が少ない食事を摂って、腎臓の負担を最小限にすることが大切です。
また塩分の濃いものを食べると、腎臓で多くの塩分を排泄しますが、腎機能が低下していると塩分排泄が適切に行われず、体の中に塩分が溜まってしまいます。そのため、食事の塩分量も制限することが必要です。また、カリウムも排泄が悪くなるので摂取量を減らします。
このような食事療法は、病状や体質によって個人差があるため、主治医に確認しながら食事制限を行うことが大切です。

おわりに:食事療法は、主治医とよく相談して行うことが大切

ループス腎炎を発症した場合、腎臓にかかる負担を抑えるためにたんぱく質や塩分、カリウムの量を抑えた食事を摂ることが必要です。ただ、摂取量は病状や体質によって異なるので、主治医と相談しながら決めることが大切です。

厚生労働省 の情報をもとに編集して作成 】

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