下垂体腺腫とはどんな病気?再発することはあるの?

2018/2/26 記事改定日: 2019/3/7
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

下垂体は脳のほぼ中央に位置する部位で、鼻の奥にある副鼻腔という空間に隣接しています。この部分に腫瘍ができる病気を下垂体腺種と言います。この記事では、下垂体腺種の症状・検査・治療法の概要を解説します。

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下垂体腺腫とは

下垂体は脳のほぼ中央に位置しており、鼻の奥にある副鼻腔という空間に隣接しています。また、下垂体のすぐ上には視神経があり、横には眼球運動神経があります。下垂体の主な役割はホルモンの分泌で、体内の臓器に働きかけてホルモンの分泌を促しています。

この下垂体に発症する病気で最も一般的なものが下垂体腺腫です。この病気は、もともと下垂体の細胞だったものが腫瘍化したものです。発症するのは青年期から壮年期、老年期にかけてのことが多いですが、小児でも発症することがあります。

下垂体腺腫の代表的な症状

下垂体はホルモンを分泌する部位のため、ホルモン分泌に関わる症状がみられます。また、下垂体は視神経に隣接する場所にあるため、腫瘍が大きくなってくると視神経を圧迫し、視界の外側の部分が見えなくなってしまう症状が起こります。また、脳内の腫瘍であることから頭痛が起きることもあります。

ホルモンの分泌異常が原因で起こる症状は、腫瘍ができた場所によって異なります。成長ホルモンに関係しているものでは巨人症や先端巨大症、甲状腺刺激ホルモンの場合は動悸、発汗過多、体重減少、甲状腺腫、プロラクチンに関するものであれば無月経、乳汁分泌、副腎皮質刺激ホルモンでは満月様顔貌(まんげつようがんぼう)や高血圧などがあります。

下垂体腺腫の検査

下垂体腺腫の診断のために、脳のCT検査を行います。CT検査はX線で脳の中を輪切りにした状態で見ることができるものです。ただ、これだけでははっきりとしない場合はMRI検査も行います。MRI検査は造影剤を使用することで、小さな下垂体腺腫まで発見できる診断方法です。造影剤を使用すると、腫瘍部位とその周辺組織との境界がはっきりするため、腫瘍がどの程度まで大きくなっているか、周辺へどのような影響を与えているかまでわかります。

そのほか、分泌されている下垂体ホルモンの量を調べる検査も行われることがあります。この場合、下垂体を刺激したり、抑制したりする薬剤を使用してから採血を行って検査します。

下垂体腺腫の治療法

下垂体腺腫の治療では、手術が行われることが基本となります。
手術によってできている腫瘍部分を取り除きますが、開頭手術を行う方法と、経蝶形骨洞的手術といって副鼻腔から手術を行うものとがあります。経蝶形骨洞的手術は、直接鼻腔からアプローチを行う方法と、上口唇下を切開してアプローチする方法があります。

プロラクチンや成長ホルモンを作るタイプの腫瘍の場合には、薬物治療が行われることもあります。治療法の選択は、他の症状などを見ながら主治医と相談して決めると良いでしょう。

また、腫瘍が大きくなり過ぎて手術で取りきれなかったり、薬が効かないタイプの腫瘍であった場合は、放射線治療が行われることがあります。放射線治療が必要になるものは非常にまれです。

下垂体腺腫が再発することはあるの?

下垂体腺腫は手術や放射線治療を行っても完全に取り切れないことも多く、治療後に再発することがあります。手術によって取り切れなかった線種は放射線治療を行うことで再発の可能性が軽減することができますが、確実に再発を防げるわけではありません。

再発した下垂体腺腫は初発のものよりも治療が難しいことが多く、手術による再切除や放射線治療、抗がん剤治療などが行われますが、治療効果は人によって異なります。それぞれの治療効果をよく吟味して主治医と話し合いながら治療を進めていくことが大切です。

おわりに:下垂体腺腫はの脳にできる腫瘍の一種です

下垂体腺種は脳内にある下垂体に腫瘍ができたために発症する病気です。CT検査やMRI検査で診断された後、手術や薬物療法などによって治療します。

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