下垂体腺腫がどんな状態だと治療が必要なの?どんな方法で治療するの?

2018/2/22 記事改定日: 2019/3/7
記事改定回数:1回

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

下垂体腺腫は、脳の中にある下垂体に良性の腫瘍ができる病気です。この記事では、下垂体腺種の治療法を3つご紹介します。

下垂体腺腫で治療が必要となるのはどんなとき?

下垂体腺腫は良性腫瘍のため、急激に増大して周囲の脳組織に浸潤したり、他臓器に転移することはありません。このため、腺腫のサイズが小さく、特に症状がない場合は定期的な検査で腺腫のサイズなどを確認するのみの経過観察が行われるケースも少なくありません。
しかし、サイズが大きくなって以下のような症状がある場合は手術や放射線治療が必要になることがあります。

  • 視力の低下
  • 視野の異常
  • 慢性的な頭痛

また、下垂体腺腫は成長ホルモンやプロラクチンなどのホルモンを産生するタイプのものがあり、それによって以下のような症状が見られる場合も治療が必要になります。

  • 靴や指輪のサイズが急に合わなくなった
  • 原因がないのに疲れやすく、倦怠感がある
  • 抑うつ気分に陥りやすい
  • 生理不順や不妊傾向がある
  • 授乳期でないのに乳汁の漏出が見られる
  • 体重や腹囲の増加が見られる

下垂体腺腫の治療:① 手術

下垂体腺腫は、脳にある下垂体に良性腫瘍ができる病気です。主な治療法は外科手術で、ハーディ手術という手法が一般的です。この手術は鼻腔に器具を入れて手術を行う方法で、開頭手術よりも負担が少ないというメリットがあります。しかし、あまりにも腫瘍が大きかったり、別の要因で鼻腔から手術が行えない場合は、開頭して腫瘍を摘出する手術が行われることもあります。

合併症や予後

手術後5日間、切開したほうの鼻にガーゼを詰めたままで過ごします。1週間は経過観察をし、術後にホルモンに関連した合併症がないことが分かれば、10~14日ほどで退院できます。その後、経過によってはホルモンの補充療法や薬物治療を続けます。
手術でバソプレシン(尿を調節するホルモン)を作る部分まで取り除いてしまうと、尿量が過剰になってしまう尿崩症(にょうほうしょう)といった合併症が起こる可能性があります。また、脳は普段病原体が侵入せず、免疫機構が発達していないため、感染症を引き起こす可能性もあります。下垂体腺種は良性腫瘍ではありますが、術後管理には細心の注意が必要です。

下垂体腺腫の治療:② 放射線治療(ガンマナイフ)

ガンマナイフは放射線治療の一種です。腫瘍に集中的に放射線を照射して細胞を攻撃し、腫瘍を構成する細胞の数を減らして腫瘍を小さくしたり、腺腫によるホルモン症状を軽くしたりすることができます。
腫瘍以外の正常組織には影響を及ぼしませんし、ガンマナイフを使えば従来の放射線療法よりも短期間で終了できるというメリットもあります。

ただ、すべての症例に適用できるわけではありません。
大きな腫瘍の場合や、小さいけれど眼の神経に近いところにある腫瘍の場合は、十分な放射線量を照射できないため、ガンマナイフを使えないことがあります。
これは腫瘍への照射が十分に行えないと、細胞を攻撃する効果が十分に発揮できず、抗腫瘍効果が期待できないためです。

下垂体腺腫の治療:③ 薬物療法

薬物療法は、ホルモンの値を調節する方法として、内科や婦人科では優先して行われることが多い治療です。ホルモンを作り出す細胞をターゲットにする薬や、ホルモンが作用する受容体に結合する薬が使われますが、多くのホルモン治療剤を服用することで、腫瘍は小さくなるとともにホルモン値も改善します。

薬物療法の場合、服用し始めたばかりの頃には吐き気やめまいといったの副作用があります。また、服用をやめると腫瘍が再び増大します。そして、薬物抵抗性の下垂体腺腫が出てきた、という問題もあります。

しかし、妊娠中の女性や体力に不安がある方の場合は、薬物療法を優先して行うことがあります。薬物療法で腫瘍を小さくすることで、侵襲がより少ない手術が選びやすくなるメリットもあります。

おわりに:下垂体腺種の治療には、手術のほかに放射線治療や薬物療法がある

下垂体腺種の治療では手術を行うことが一般的ですが、腫瘍の大きさや腫瘍ができた場所、また体への負担などを考慮して、放射線治療や薬物療法が行われることもあります。

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