記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/19 記事改定日: 2018/11/29
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
脳挫傷とは、事故や転倒などで頭部に強い衝撃が加わった結果、脳の機能が正常に働かなくなる症状です。一時的に意識を失うものの、時間が経てば元に戻りますが、意識は戻ったのに手足が動かしにくかったり、言葉が出てこなかったりすることがあります。この記事では、このような場合にどのようなリハビリを行うかについて解説します。
脳挫傷とは、事故や転倒、スポーツなどで頭部に強い衝撃が加わった結果、脳が傷ついたり、脳の機能が正常に働かなくなる症状です。
衝撃を受けてからしばらくの間は意識がないことがありますが、脳挫傷の場合は意識が少しずつ回復して、普段の状態に戻ります。
しかし、意識が戻っても脳梗塞を起こしたときのような症状(手足が思うように動かない、今までのように話せない、など)がみられることがあります。
このような症状がどのくらい続くかは人によって異なりますが、脳挫傷の場合には日常生活に支障が出ない程度まで回復することが多いと言われています。ただし、問題となるのは、高次脳機能障害があらわれた場合です。
高次脳機能障害とは、人間としての営みを円滑に行っていく機能に支障が出る症状です。
脳挫傷によって高次脳機能障害が起こると、体の機能が回復して退院できても、一人暮らしや職場への復帰ができないことがあります。
このため、脳挫傷後に特定の症状が現れた場合は、体のリハビリとともに、高次脳機能障害に対するリハビリも同時に行うことが重要です。
ただし、リハビリを根気強く続けることで、失われてしまった機能に代わる能力を獲得できることがありますが、リハビリをしたからといって、高次脳機能障害が短期間で改善するわけではありません。退院後も自宅で続けていく必要があります。
脳挫傷はさまざまな後遺症をのこす可能性があります。
どのような後遺症が出るかは、脳が損傷を受けた部位や損傷の程度によって異なりますが、一般的には、手足の麻痺や言語障害などの神経障害、記憶障害や人格の変化が生じる高次脳機能障害に分けられます。
神経障害が生じた場合には、歩行訓練などの理学的なリハビリや手先を使う訓練など作業療法的なリハビリが必要になります。一方、高次脳機能障害が見られる場合には、円滑に日常生活や仕事ができるよう、生活や仕事でのスキルを改善するための訓練が必要です。
一度ダメージを受けた脳は完全に元の状態に戻ることはありませんが、リハビリを続けることでQOLを向上させることは可能です。何らかの後遺症がある場合は、状態が落ち着いたらなるべく早めにリハビリを始めるようにしましょう。
脳挫傷に限らず、脳の病気に対するリハビリの内容には、病状によって異なります。
自分で体を動かすことができない場合、廃用症候群を予防するために、手足の関節を動かして関節が固まるのを防ぎます。
麻痺がある場合は、麻痺がある側もしっかりと動かします。自分で体を動かせるようになって、血圧も安定してきたら、徐々に日常生活の中で必要な体の動きができるよう取り組みます。
また、話しづらさがある時は言語聴覚士によるリハビリを行います。
高次脳機能障害では、自分の症状を理解するところから始めます。繰り返し同じ練習をしたり、メモを利用して記憶障害を補ったりします。
神経機能を回復させるためには、できるだけ早くリハビリを始めることが重要だと言われています。それは、一度失われた機能がリハビリによって回復したり、新しいことができるようになるからです。特に発症した直後から始めると効果が高いと言われています。
脳挫傷を発症した後のリハビリは、どのような症状があらわれているかによって異なります。自分で体を動かすことが難しいときは、関節が固まるのを防ぐためのリハビリを行い、高次脳機能障害がみられるときは、記憶障害や注意障害を補うためのリハビリに取り組みます。リハビリの効果を実感できるまでに時間がかかるため、根気強く続けることが大切です。
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