記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
2018/2/16 記事改定日: 2020/4/13
記事改定回数:2回
記事監修医師
日本赤十字社医療センター、歯科・口腔外科
川俣 綾 先生
扁平苔癬(へんぺいたいせん)とは、ほほの粘膜や舌、歯ぐきに白い角化性の病変があらわれる症状です。また、皮膚にも現れることがあります。
扁平苔癬はがん化することがあるといわれており、見つかった場合は早めに治療するのが賢明です。それでは、発症した場合にどのような治療がなされるのでしょうか。
扁平苔癬(へんぺいたいせん)は、口腔がんになる可能性がある粘膜疾患です。頬粘膜(きょうねんまく)や舌、ときには歯肉といった口腔粘膜に、白い角化性の病変があらわれることが特徴です。病変はこすってもはがれません。扁平苔癬ができやすいのは頬の粘膜で、舌、口唇(特に下口唇)、口蓋、歯肉に発症することもあります。
扁平苔癬は炎症性の病変で、おもな症状には以下があります。
症状としてとくに多いのは「痛み」であり、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返すこともあります。
扁平苔癬は診療機会も比較的多い口腔粘膜疾患ですが、原因はまだ明らかになっていません。ただ、外傷性、細菌性、梅毒性、寄生虫性、ウイルス性、糸状菌性、アレルギー性、中毒性、神経または神経原性、遺伝性など、様々な原因が考えられています。
扁平苔癬の症状を悪化させる要因として考えられるのは、C型肝炎、口腔内刺激および喫煙などです。虫歯や歯周病、入れ歯の不適合なども扁平苔癬を悪化させると考えられるため、口腔内を刺激するような辛味の強い食べ物を控えたり、口腔内の環境を清潔に保つことが大切です。
扁平苔癬は原因不明の病気であり、根本治癒できる治療薬はありません。対症療法的な治療として以下の薬が処方されます。
扁平苔癬の治療では、以下の漢方薬を服用することもあります。
ただし、漢方薬は長期的に服用して効果を得られるものです。必ず専門医の診察のもとで服用しましょう。
扁平苔癬は口腔内以外にも、手や足、腹部、陰部、爪など顔面以外の全身いたるところにできることがあり、皮疹は通常、左右対称に現れます。
どこにできた場合でも、まずは小さな丘疹から発症し、それらが癒合して色素沈着や角化が見られます。かゆみを伴うことが多く、皮膚を掻いて損傷した部位から新たな丘疹が生じる「ケブネル現象」が起きるのが特徴です。
進行すると、皮疹以外にも斑状の脱毛や爪の喪失など様々な症状が引き起こされます。
治療方法は口腔内にできたときと同様ステロイドやビタミンAの投与が行われますが、皮疹が一部に限局している場合には、ステロイドの軟膏や局所注射などが行われます。
皮疹が全身にあるような場合には内服治療や光線療法、免疫抑制剤の投与などが行われることもあります。
扁平苔癬を発症したときは、悪化させないためにも次のようなことに注意しましょう。
扁平苔癬を発症する原因はまだ明らかではないため、対症療法が行われます。治療では、炎症を抑えるための薬(ステロイド軟膏)や粘膜を正常に保つもの(ビタミンA製剤)、抗アレルギー作用がある薬(アルカロイド製剤)などが使われます。
扁平苔癬は再発も多く、治療期間が長くなることも少なくありません。口腔内の衛生管理を徹底し、医師の指示に従いながら根気よく治療を続けていきましょう。