急性腹膜炎発症後、早急に手術をしないと危険な理由とは・・・

2018/4/27

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

腹部の激痛が特徴の「急性腹膜炎」。この急性腹膜炎を発症したら、早急に手術をする必要があると言われています。今回の記事ではその理由や、詳しい治療法などを解説します。

急性腹膜炎はどんな病気?

急性腹膜炎とは、腹膜(腹腔の内側や腹腔内の臓器を覆う膜)に炎症が起こる疾患です。腹腔(腹壁に囲まれた空間)内は本来無菌状態が保たれていますが、急性虫垂炎や急性膵炎などの合併症、あるいは打撲などの外傷や消化管の穿孔によって腸の内容物が腹腔内に漏れ出したことが原因で発症します。

急性腹膜炎になると、腹部の不快感や軽い腹痛の後、激しい腹痛に見舞われます。痛みの箇所は徐々に腹部全体にまで広がっていきます。腹痛のほか、吐き気や発熱、頻脈などが見られることもあります。

発症後、早めに手術をしないと危険な理由とは?

急性腹膜炎には、腹膜全体に炎症が広がる「急性汎発性腹膜炎」と、膿瘍が腹膜の一部に留まる「急性限局性腹膜炎」の2種類があります。このうち、特に急性汎発性腹膜炎は重症化し、生命に関わる可能性があるため、早期手術が非常に重要です。

急性汎発性腹膜炎とは

腹腔内に炎症が広がった状態です。腹膜から毒素が吸収され、重症化して呼吸不全などが起こる恐れがあります。

さきほども急性腹膜炎の原因についてお伝えしましたが、特に胆のうの穿孔によって発症した場合は、細菌を含んだ胆汁が腹腔内へと流れ出し、全身状態が重篤化しやすい傾向にあります。最悪の場合、生命が失われることもあります。

また、急性膵炎による急性腹膜炎の場合は、膵液が流れ出し、腹部の激痛だけでなく意識障害や血圧低下などの危険な状態に陥る可能性があります。

そして、大腸の穿孔が原因の場合も非常に危険性が高いです。細菌が便とともに腹腔内へと流れ出すことで、全身状態が急速に悪くなっていきます。特に生命を失う危険性が高く、人工肛門を作る必要性がある場合もあります。

急性腹膜炎の治療法について

急性腹膜炎の治療法は、「急性汎発性腹膜炎」か「急性限局性腹膜炎」かによって異なります。

腹膜炎の範囲が限られている急性限局性腹膜炎の場合には、絶食や安静、補液や抗生物質の投与などの保存療法で改善することがあります。しかし急性汎発性腹膜炎の場合や腫瘍がなかなか小さくならない場合は、手術が必要です。

手術の方法は、腹膜炎の発症原因によって少しずつ違ってきます。虫垂炎による穿孔が原因の場合は虫垂切除術を、胃や十二指腸の潰瘍の穿孔が原因の場合は穿孔部閉鎖術を、大腸の穿孔が原因の場合は大腸の切除と人工肛門の設置を行います。また、腹腔内は膿などで汚染されている状態なので、手術では腹腔内の洗浄も行います。そして、腹腔ドレーンを使って腹腔内の膿や消化液を体外へ排出します。

なお、重症度によりますが術後は絶対安静が必要で、感染症対策や栄養管理などの集中治療を行うこととなります。

おわりに:急性腹膜炎を放置すると、呼吸不全に陥ったり、生命を落としたりする危険性が!

急性腹膜炎の種類によっては、炎症が拡大し、呼吸不全や意識障害などの重篤な症状に陥る危険性があります。腹部の激痛や吐き気、発熱といった疑わしい症状がみられたら、すぐに病院を受診するようにしてください。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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