記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/2/8 記事改定日: 2019/7/24
記事改定回数:2回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠糖尿病とは、妊娠中に血糖値が基準値を超えてしまうことです。ホルモンバランスが乱れが原因で発症し、治療のためには食事制限が必要になることがありますが、近年妊婦の痩せすぎが問題になっているといわれています。この記事では、問題の原因と体重管理のコツを解説します。
妊娠糖尿病とは、妊娠の影響で、血糖値が高い状態になってしまう病気です。妊娠前から糖尿病だった場合は、妊娠糖尿病というよりも、「妊娠中に判明した明らかな糖尿病」として区別されます(ただし治療方針は妊娠糖尿病と同様です)。
妊娠時には血糖値を下げにくくするホルモン(ヒト胎盤性ラクトゲンなど)が体内で作られるため、血糖値が上がりやすくなるもpのの、基本的に血糖値は正常値におさまります。しかし、何らかの原因でブドウ糖の代謝のバランスが崩れて糖代謝異常が起こると、血糖値が上がり妊娠糖尿病になるのです。
近年、国内で妊娠糖尿病が増えているといわれていますが、主な原因として2点挙げられます。
日本は魚や野菜を中心とする食事でしたが、食の欧米化が進むにつれ、糖分や脂肪分をこれまでよりも多く摂るようになりました。その結果、妊娠糖尿病になる妊婦が増加していると考えられています。
一般に35歳以上の女性の出産を高齢出産と定義されます。通常であれば、血糖値が上がったときにインスリンが作用して血糖値を調整します。インスリンは膵臓で生成され、妊婦は通常よりも多くのインスリンが分泌されますが、高齢出産になるとインスリンの分泌量が低下していることがあります。その結果、血糖値を下げることができず、妊娠糖尿病になってしまう場合があるのです。
妊娠糖尿病の治療法は、毎食前の自己血糖測定と食事療法から始めます。医師の指導のもと、バランスの良い食事をとりながら血糖コントロールを続けます。
妊娠中は、空腹時の血糖値が低くなり、食事後の血糖値が高くなりやすく、血糖値のアップダウンが激しくなりがちです。そのため、急激な血糖値の上昇を防ぐために食事を1日に4~6回に分けて取ることもあります。ただし、食事療法を行っても血糖値のコントロールが悪い場合はインスリン療法が必要です。
妊娠糖尿病が増加している一方で、妊婦の痩せも問題になっています。痩せの状態で出産した場合、胎児が低体重になってしまう確率が高まるといわれています。最近の調査によると、低体重児は、大人になったときに生活習慣病のリスクが高くなると報告されています。妊娠糖尿病を気にするあまり、過剰に食事制限をするのもよくありません。
妊娠中は、妊娠に伴うさまざまな合併症を予防するため体重管理が必要です。
標準体型で合併症がない妊婦の場合、7~10kgほどまでの体重増加が適正範囲とされています。一方、妊娠糖尿病の妊婦は、体重増加による血糖値のコントロール不良が生じやすいため、より厳密に管理する必要があります。このため、妊娠糖尿病を発症した妊婦は4~6kgまでの体重増加に抑えるのがよいとされているのです。
妊娠糖尿病の程度によっても体重管理の方法は異なるため、インスリンによる薬物療法だけでなく、食事療法や運動療法についても必ずかかりつけの産婦人科医や管理栄養士の指導に従って体重管理を行うようにしましょう。
妊娠糖尿病は、出産後には改善する場合が多いです。しかし、妊娠中に血糖値が高くなった場合には、出産後も糖尿病になるリスクが高くなる場合があります。出産後も血糖値には注意して、糖尿病にならないように気を付けましょう。
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