記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/6 記事改定日: 2019/1/28
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
睡眠障害の原因には様々なものがありますが、加齢(老化)が原因で起こることをご存知でしょうか。
これは深い眠りができなくなってしまうことで起こることが多いといわれています。
加齢による睡眠障害の対策を紹介していくので参考にしてください。
睡眠には、深い眠り(ノンレム睡眠)と浅い眠り(レム睡眠)があり、深い眠りが脳の休息である「熟睡」に相当します。
年をとるにつれ熟睡できる時間は減っていき、反対に浅い眠りの時間は長くなります。浅い眠りは脳が活動している状態なので、ちょっとした刺激(音、光、温度など)で目が覚めます。そのため、中途覚醒や早朝覚醒が起こりやすくなるのです。
つまり、加齢に伴う深い眠りの減少が「長時間寝ていても、寝た感じがしない」という状態を引き起こす原因のひとつといえるでしょう。
また、体内時計と連動して睡眠のリズムに大きな影響を与えているのがメラトニン(睡眠ホルモン)です。
メラトニンは夜間に増えることで、睡眠に誘導する役割を果たしていますが、加齢と共に、夜間のメラトニンの分泌量は減少するため、それが体内時計の乱れとなり、睡眠障害を引き起こす原因になることが指摘されています。
起きている時間が長くなると、深い眠りを得やすくなります。中高年になると就寝時刻が早くなりますが、上述した「深い眠りの減少」を改善するためには、むしろ本当に眠くなるまでは寝ないことで対策が可能とされています。
また、積極的な運動や買い物などを利用して「一日の活動量を増やす」ことも有効です。
そのほか、高血糖や高血圧の状態は睡眠の質に影響してくるので、血糖値と血圧はきちんと管理するようにしましょう。
「体内時計の乱れ」を改善するためには、太陽の光を浴びて夜間のメラトニンの分泌を促すことが重要です。
夕方に適度の運動をして体温を上昇させると、夜間に向けて体温が低下して眠りに入りやすくなります。
これは体温の変動にメリハリをつけることで、体内時計にも良い影響が出るからです。
ただし夜間は室内を暗めにした方がメラトニンが多く分泌されるといわれているので、寝る少し前から照明を暗くし、眠りにつきやすい環境を整えることも忘れないようにしましょう。
なお体内時計は、規則正しい時間に食事を摂ることでもリセットされます。とくに朝食は、体内時計のリセットに重要と考えられています。
高齢による睡眠障害には適度な運動が効果的です。
しかし、高齢者は転倒による怪我や過度な運動による筋肉や腱などの損傷にも注意しなければなりません。ここでは、リスクが少ない高齢者におすすめの運動法をご紹介します。
最も手軽に行える運動です。有酸素運動であるため、肥満や糖尿病などの生活習慣病改善効果も期待できます。
それぞれの運動能力に合わせて行うことが大切であり、転倒のリスクが少ない人は公園など外で行うのがよいでしょう。
一方、転倒のリスクやめまい、立ちくらみなどの症状が起こりやすい人は室内で手すりにつかまりながら歩くなど、怪我に注意しながら行いましょう。
理想的には一日30分の歩行がよいとされていますが、無理のない範囲で行っていきましょう。
横になったり座ったりした状態で行えるため、運動能力が低い人にもおすすめの運動です。筋肉に軽い痛みが生じる程度まで太ももやふくらはぎを伸ばしたり、背筋を伸ばしたり、各々できる部位のストレッチを行いましょう。
理想的には一日10分のストレッチを毎日続けることが大切です。
年齢を重ねると共に、睡眠障害の悩みを抱えるケースも多いといわれています。眠れなくなる理由は加齢に伴う睡眠の変化にもあります。長時間の睡眠にこだわるのではなく良質の睡眠をとれるようにすることが重要です。
熟睡できる時間を長くして睡眠の質を上げるために、生活にメリハリをつけて体内リズムを整えるようにしましょう。