睡眠障害になってしまうのは何が原因なの?

2018/2/7 記事改定日: 2019/1/28
記事改定回数:2回

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

睡眠障害とは、不眠症をはじめとする、睡眠に関する症状を引き起こす病気です。重症になると仕事や学校など昼間の生活にも支障が出てしまうようになってしまいます。
この記事では、睡眠障害の原因となる習慣と症状改善のヒントを紹介しています。

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睡眠障害の症状には、どんなものがある?

睡眠障害とは、睡眠に何らかの問題がある状態をいいます。
睡眠障害の代表的な症状は不眠症ですが、睡眠障害イコール不眠症ではありません。

睡眠障害には、

  • 昼間の過剰な眠気
  • 睡眠中に生じる異常行動
  • 睡眠・覚醒リズムの乱れ

といった症状も含まれます。

また睡眠障害があると、日中のだるさ、集中力低下などが引き起こされ、日々の生活に支障をきたし、極端な場合には思わぬ事故につながることもあります。さらに睡眠障害が長期間持続すると、生活習慣病やうつ病などになりやすくなるといわれています。

睡眠障害を防ぐうえで重要なのは

  • 症状の正確な把握
  • 睡眠環境の改善

です。

たとえば下記のような不適切な睡眠環境や誤った睡眠習慣が、健康な睡眠を妨げている可能性があるので、原因をきちんと把握したうえで睡眠環境を改善していく必要があります。

睡眠障害の原因となる間違った睡眠習慣とは!?

運動と仮眠のタイミング

人間には「ホメオタスシス」という体の状態を均一に保とうとする機能があります。また人間は、脳や体の内部の体温である「深部体温」が下がると眠くなるようになっています。就寝時刻になっても寝つけないのは、この深部体温が下がらないためといわれています。

夕方頃に運動などで体温を大きく上げておくと、ホメオタスシスにより就寝前に体温が大きく下がるので熟睡できますが、このタイミングで仮眠を取ってしまうと、深部体温が上がらないため、その後の寝る時間になっても深部体温は下がりにくく、スムーズな入眠を阻害してしまいます。

また、寝る直前に運動をすることも深部体温が下がらなくなるので、入眠を妨げる原因になります。

寝室の環境

寝室が掃除が行き届いた清潔な環境かどうかは睡眠時の呼吸と密接に関係します。
極端に室内の空気が乾燥していたり、寝室の空気のなかをアレルゲンなどが混じった埃が舞っている状態であれば、スムーズな鼻呼吸を保てず深い睡眠が妨げられます。

また寝具選びも重要です。
たとえば骨格に合わない枕を使い続ければ、肩や背中の凝り、いびきを引き起こすばかりか、睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群の引き金にもなりかねません。
また夏の掛け布団は熱を逃がすものを選び、冬は適度に保温と放湿するもの選ぶというように、季節によって寝具を使い分けることも大切です。

寝るときの服装

睡眠時の服装は

  • 体を締めつけない
  • 肌触りが良い
  • 吸湿性と放湿性が優れている

ものを選びましょう。

また、体が冷えると眠りが浅くなりやすいので、首や肩、おなかを冷やさないように肩や背中を覆うものを選ぶようにしてください。とくに女性は冷えやすいので注意しましょう。

寝る前のスマホ、PC

スマホの液晶画面が発するブルーライト(強いエネルギーを持つ青色光)は、睡眠を誘発するホルモン「メラトニン」の分泌を阻害し、体内時計を狂わせ、その結果、入眠が遅くなったり、浅い眠りになるリスクが高くなるといわれています。

さらに寝る直前までスマホに熱中すると、交感神経が優位なままになり、ますます眠りにくくなります。
寝る前にスマホやPCの画面は見ないようにしましょう。どうしてもスマホを使わなければいけない場合は、ブルーライトカットフィルムなどを使用して対策をとりましょう。

食事

食生活の乱れも睡眠障害の原因になることがあります。
脂質や糖質などが多い食事は消化に時間を要するため、睡眠の妨げになります。また、睡眠前2時間以内の食事は、就寝時、胃や腸が消化のために活発に動いている状態となるため、入眠障害を引き起こす可能性があります。

良質な睡眠をとるには、食事は睡眠前3時間には済ませ、野菜や和食を中心とした消化によいメニューを選ぶようにしましょう。
また、睡眠を促すホルモンの生成に必要なトリプトファンと呼ばれるアミノ酸が多く含まれた青魚や魚卵、大豆製品、バナナなどを食事に多くとり入れるのもおすすめです。

ストレスが睡眠障害を引き起こすのはなぜ?

ストレスは自律神経の中の「交感神経」を過剰に刺激することがあります。
交感神経は身体を活発にする作用のある神経で、動悸や発汗などを引き起こし、過度に刺激されることで睡眠障害の引き金になることがあります。

また、ストレスによって物事を考えこむ癖ができてしまうと入眠障害を引き起こしかねません。
ストレスは適度に発散して、日頃からストレスが溜まりにくい生活を心がけましょう。

睡眠障害は自力で治せる?病院へ行った方がいいの?

睡眠障害は、生活リズムの乱れによって体内時計が狂い、正常な睡眠サイクルが維持できなくなっていることが原因となる場合もあります。このような場合には、起床時間を早め、日中にきちんと活動し、決められた時間に就寝することを心がけるだけで正常な睡眠サイクルを得ることも期待できます。

しかし、一度乱れた睡眠リズムは生活習慣の改善だけで正常に戻すのが難しいことも多く、睡眠にまつわる症状は精神疾患や内分泌疾患など重篤な病気による症状であることもあります。
また、睡眠障害を放置して日中の眠気や倦怠感、注意力が著しく低下すると日常生活や社会生活に大きな支障をきたすだけでなく、思わぬ事故を引き起こすこともあります。

一か月以上続く睡眠障害に悩んだ場合には、早めに病院を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。

おわりに:睡眠習慣を見直して睡眠障害を改善しよう!ただし、長期化している場合はすぐに病院へ

睡眠障害の中でも不眠症は多くの国民が抱えている悩みです。市販の睡眠薬に頼りがちな人もいるかもしれませんが、誤った睡眠環境や睡眠習慣が症状を深刻化させているのであれば、それらを改善することで症状が軽減する可能性もあるでしょう。間違った仮眠の習慣や寝室や寝具の環境に問題がないかを見直し、少しずつ改善していきましょう。

ただし、睡眠障害が長期化すると深刻な状態に陥ってしまう恐れがあります。セルフケアで改善しないものに関しては、早めに病院を受診して適切な治療を始めましょう。

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