記事監修医師
古賀 祥嗣 先生
テストストロン値は、補充治療で高めることができますが、普段の生活習慣もとても大切です。ここでは、テストステロンを高めるヒントを詳しくご紹介します。
定期的に体を動かすことが、テストステロンを増やす秘訣です。特に、デスクワークの男性はテストステロンをあまり必要としないため、テストステロン値が減少する傾向があります。該当する方は、意識的に体を動かすようにしましょう。
運動のなかでも、おすすめなのは「筋トレ」です。筋肉が刺激されることで、テストステロンの生成を高めます。
運動には、筋トレのような無酸素運動と、ジョギングのような有酸素運動がありますが、どちらも効果があります。ただし、マラソンのような強度の高い運動はテストストロンが消費されてしまう恐れがあるので要注意です。もう1ステップ負荷をかけて自分の体を少し追い込む、そのくらいの適度な運動がおすすめです。
【参考文献】
書籍「うつかな?と思ったら、男性更年期を疑いなさい/堀江 重郎」
Healthline
睡眠不足はホルモンの生成に影響を与えます。美肌は真夜中つくられると言いますが、実は、テストストロンの生成も真夜中が大切な時間帯です。
午前1~3時にしっかり寝ていることが大切です。夜更かしているとテストストロンが充分に生成されません。一般的には、6~7時間程度の睡眠をとることが最適だと言われています。
もちろん、睡眠の質も大事です。寝る前のスマホやゲームは控えたほうがいいでしょう。LEDの光によって交感神経が刺激され、不眠の原因となってしまいます。
アメリカの医学雑誌「JANA」に発表された研究結果で、8時間睡眠をとった場合と、5時間睡眠をとった場合と治験者のテストステロン値を比較したところ、平均で10~15%もテストステロン値が下がっていたと報告されています。テストステロン値を上げるためには、しっかりと睡眠をとることが大切なのです。
【参考文献】
書籍「うつかな?と思ったら、男性更年期を疑いなさい/堀江 重郎」
Healthline
テストステロンにはストレスが大敵です。テストステロンの低下にはさまざまな原因がありますが、仕事や人間関係などのストレスが原因であることが少なくありません。
現代社会では、誰しも多かれ少なかれ抱えているストレスですが、ためこんでしまうと寝込んでしまったり、うつ症状が表面化したり、気づいたときには取り返しのつかない状況になってしまうこともあります。ストレスと上手くつきあっていく方法を自分なりに見つけることが大切です。
ストレスを上手くつきあってっていく秘訣は、その場その場で感じたストレスはその場で解消することです。人間関係においては、我慢ばかりせずに自分の意見を主張することも大切です。主張することでテストストロンが分泌され、かえって気力がわいてきます。
もうひとつの秘訣は、リラックスすること。リラックスには、いろいろな方法がありますが、習慣にしやすいのが、お風呂に入ることです。シャワーで済ませずに、湯船にゆっくりとつかることで副交感神経が優位になり、リラックスできます。
そのほか、香りで交感神経を鎮めて副交感神経を高めるアロマオイル、体を癒すマッサージやストレッチ、ヨガも効果的です。音楽を聞いたり、森林浴にいったりなど、オンとオフを上手く切り替える自分なりの方法をぜひ見つけてください。
【参考文献】
書籍「うつかな?と思ったら、男性更年期を疑いなさい/堀江 重郎」
Healthline
日経トレンディ「男性ホルモンは、こうすればガンガン出る/<監修>堀江 重郎)」
テストストロンは、1日のうちで分泌する量が変化します。午前1時から3時までの真夜中にテストステロンは生成されはじめ、テストストロン値が高くなります。そのため、1日のうちでもっともテストステロン値が高いのは、朝です。夕方になるにつれ、徐々に減っていきます。
最近は、朝活や朝会議がはやっていますが、テストストロン値の高い朝は集中力や決断力が高まるため、とても理にかなっています。
もうひとつおすすめしたいのが、朝のコーヒーです。ある研究では、カフェインはテストストロン値を高めるという報告があります。朝、少し早く起きてコーヒーを飲む、そんなゆとりあるライフスタイルがテストステロン値の改善につながります。
【参考文献】
書籍「うつかな?と思ったら、男性更年期を疑いなさい/堀江 重郎」
日経トレンディ「男性ホルモンは、こうすればガンガン出る/<監修>堀江 重郎)」
Healthline
テストステロンの生成を促す食品や生成を助ける食品をご紹介します。
テストステロンを増やすには、たんぱく質をしっかり摂ることが大切です。なかでもテストステロンの生成を高めるのが羊肉です。
羊肉には、カルチンという成分が多く含まれており、これがテストステロンを高く維持する効果があると言われています。羊肉と野菜がたっぷりとれるジンギスカンは、テストステロンの生成を高めてくれる最適な料理と言えるでしょう。
テストストロンをつくる精巣(睾丸)は活性酸素による酸化に弱いため、抗酸化作用の高い玉ねぎやニンニクもおすすめです。玉ねぎに含まれているケルセチンという成分には、テストステロンの排出を抑える役割があります。
たんぱく質と一緒にとるとテストステロンの生成がぐんと上がると言われているのがニンニクです。ニンニクは、実は単体で食べてもあまり効果がありません。ステーキや唐揚げ、かつおのたたきといったたんぱく質と一緒に摂ることがおすすめです。
卵やいくら、しらずなどに含まれるコレステロール。動脈硬化の原因として、これまで敬遠されてきたコレステロールですが、実はこのコレストロールを原料にテストステロンは作られています。
ダイエット中だからと言って、野菜だけをとっていてもテストストロンをつくることができません。バランスの良い食事をとることが、低テストステロンの改善につながります。
亜鉛は、テストストロン値をあげるために欠かせない栄養素です。男性にとってはとても大切な成分で、不足すると性機能の低下にもつながります。代表的な食品は、かき、わかめ、あじ、いわしなど。身近な食品に豊富に含まれているので積極的に摂りたいものです。
Reproductive Biology and Endocrinologyで発行された研究によると、D-アスパラギン酸が豊富な食品は、テストステロンの生成を促進する働きがあります。豊富に含まれている食品の代表格は、大豆やもやしなど。また、アーモンドなどのナッツ類も豊富に含まれています。ナッツ類は、小腹がすいたときにおやつがわりに摂るといいでしょう。
【参考文献】
書籍「うつかな?と思ったら、男性更年期を疑いなさい/堀江 重郎」
Healthline
性欲の低下については、単純にテストステロンを高めるだけでは根本的な解決にならないことがあります。それは身体的な問題だけでなく、パートナーとの関係や精神的なストレスを始めとした心の問題が複雑に絡みあっているからです。
根本的な問題を解決するためには、そのまま放置せずに自分の潜在的な気持ちと向きあい、パートナーや担当医に相談することが大切です。とても勇気がいることですが、問題を乗り越えたとき、人生に大きな喜びをもたらしパートナーとの絆もより深まることでしょう。
【参考文献】
Healthline
猿山で、いちばんテストステロンが高いのはボス猿です。これは、人間も同じです。コミュニティの中で、男性として切磋琢磨することがテストステロンの生成を高めます。
ひと昔前は、家庭や職場のなかである種のヒエラルキーがあり、競争したり、切磋琢磨することで男らしさを発揮することができました。しかし、最近の日本では男らしさを発揮する場所がどんどん減ってきています。
だからこそ、意識して切磋琢磨したり、競争する場所や機会を持つといいでしょう。野球やサッカーなどのスポーツを楽しむこともそのひとつです。仲間とチームを組んで行動するとテストストロン効果がより上がります。
ドーパミンの分泌を刺激するテレビゲームやスマホゲームもおすすめです。テストストロンはドーパミンの分泌を促す働きがありますが、不思議なことにドーパミンが分泌されるとテストストロンの分泌もあわせて高まります。ただし、やり過ぎは禁物。頭の疲労につながりますので、適度に行うことをおすすめします。
【参考文献】
書籍「うつかな?と思ったら、男性更年期を疑いなさい/堀江 重郎」
Healthline
女性と接することでテストステロンは高まります。スキンシップや性交渉によってもちろん上がりますが、ただ話をするだけでも上がります。
まずは、パートナーと一緒に腕を組んででかけることから始めてみましょう。一緒に話をしながらウォーキングをするのもおすすめです。今さら照れくさいと恥ずかしがらずに、治療の一環と思って始めることをおすすめします。
ところで、知らない女性や初めて会う女性と話すだけでもテストステロン値は上がります。これは、好みや年齢にまったく関係ないそうです。知らない女性と出会う、触れ合う、体を動かす、の3拍子揃っているのが社交ダンスです。仲間やパートナーと切磋琢磨しながらダンスを習得することで、さらにテストステロンが高まります。
【参考文献】
書籍「うつかな?と思ったら、男性更年期を疑いなさい/堀江 重郎」
Healthline