耳下腺腫瘍の治療後に合併症や再発のリスクがあるって本当?

2018/2/14 記事改定日: 2019/3/15
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

耳下腺腫瘍とは、耳の前から下に存在する唾液腺にできる腫瘍です。手術で腫瘍を摘出することが主な治療法となりますが、治療後に合併症を発症することはあるのでしょうか。この記事で詳しくみていきます。

耳下腺腫瘍の治療で大切なことは?

耳下腺腫瘍とは、耳の前から下に存在する唾液腺にできる腫瘍で、良性のものと悪性のものがあります。一般的には良性のものが多いとされており、良性:悪性は5~10:1です。病理組織学的には種類が多いことが特徴で、良性でも悪性でもたくさんの種類があります。

良性腫瘍で最も多いのは多形腺腫です。耳下腺腫瘍の治療では良性、悪性を問わず腫瘍を取り除く手術療法が選択されることが多いですが、耳下腺内には顔面神経が通っているため、手術の際には神経を傷つけないように気をつける必要があります。

体の表面近くにできる腫瘍なので、簡単に切除する方法がとられることがありますが、専門の医師による診断と適切な治療をすることが大切な病気です。

治療後に起こる合併症にはどんなものがある?

耳下腺腫瘍の治療は主に手術療法ですが、合併症が起きる可能性があります。

最も良く見られるものは顔面神経麻痺です。これは手術で腫瘍を摘出するとき、近くにある顔面神経を傷つけてしまうことで起こります。

また、耳下腺内の腫瘍を取り除く時にあけた穴が元になって起こる唾液瘻(だえきろう)も合併症のひとつです。耳下腺では唾液を作っているため、穴の部分から唾液が皮下に出てしまうことがあります。

そして、フライ症候群という、耳下腺に通っている耳介側頭神経が、皮膚の汗腺に至ることで生じる合併症もあります。耳介側頭神経は唾液を分泌させる指令を出す神経なので、この神経が汗腺とつながってしまうと食事中に唾液が出る信号が出たときに汗も出てしまう、という症状が起こるのです。

合併症は治せるの?

耳下腺腫瘍の手術には、顔面神経麻痺や唾液瘻、フライ症候群などの合併症が引き起こされることがあります。

顔面神経麻痺は、手術によって耳下腺の周囲を走行する顔面神経にダメージを与えることによって引き起こされます。一度傷ついた神経を完全に修復することは困難であるため、顔面神経麻痺が生じた場合には、リハビリなどを行って症状の軽減を図る対処が行われます。
また、医療機関によっては、ダメージを受けた顔面神経をつなぎ合わせたり他部位の神経と置換する治療が行われることもありますが、確実な治療効果が得られないこともあります。

同様に、フライ症候群も耳介側頭神経へのダメージが原因になるため症状を完全に消失させることは難しいと考えられます。
一方、唾液瘻を生じた場合には、耳下腺に生じた穴を塞ぐ手術で治療することが可能です。

耳下腺腫瘍が再発することはある?

耳下腺腫瘍は近くに顔面神経が通っているため、腫瘍を周りの組織ごと取り除くことができません。そのため、必要な部分だけをギリギリのところで切除しますが、その時にとり残しがあると耳下腺腫瘍の再発を起こすことがあります。

このときに問題となるのは良性腫瘍の一種である多形腺腫の場合で、時間が経つにつれて悪性に変わってがんになってしまうことがあります。がんになると手術で取り除く時に顔面神経も切りとる必要が出てきてしまいますし、耳下腺のがんは治りが悪いので注意が必要です。

また、2回目以降の手術では、最初の手術が瘢痕化していたり、内部の構造が変わっているために、手術が難しくなるという特徴もあります。

再発は時間をかけてゆっくりと起こるので、再発に気がつかない人もいます。再発を早めに発見するためには、手術をした場所の状態を確認して、変化に早く気付くようにすることが大切です。

おわりに:耳下腺腫瘍には合併症だけでなく、再発のリスクもある

耳下腺腫瘍の手術後に発症する可能性がある合併症として、顔面神経麻痺や唾液瘻、フライ症候群といった症状があります。また、耳下腺腫瘍は顔面神経に近い部分にできるため、場合によっては腫瘍をすべて取り除けず、再発してしまう恐れもあります。気になる症状がみられたら、早めに主治医に診てもらって適切な対処をしてもらうことが大切です。

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