前立腺がんの手術にはどんな方法方がある?再発率はどのくらい?

2018/2/8 記事改定日: 2018/5/21
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山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

前立腺がんは、進行が遅いため深刻な状態に陥るケースが少なく、早期であれば完治が可能とされています。この記事では、前立腺がんの手術と合併症について、手術以外の治療法と術後再発率もあわせて解説しています。

前立腺がんの手術の種類について

前立腺がんの手術療法では、前立腺を全摘する「前立腺全摘除術」で根治を目指します。手術方法には、開放(開腹)手術、腹腔鏡手術、ロボット支援下手術、内視鏡下ミニマム創手術などがあります。

下記で、それぞれの手術の流れや特徴、リスクを詳しく説明していきます。

開放(開腹)手術

標準的な手術であり、以下の術式よりも多くの施設で行われています。臍(へそ)の下から恥骨の上まで、8~10cm程度の皮膚を切開し、前立腺をまるごと、膀胱から切り離して取り除く手術です。平均1000mLの出血を伴う手術であり、1~2週間程度の入院を要します。

勃起不全(ED)や尿漏れなどの合併症を伴う場合があり、前立腺を取り除くと射精はできなくなります。これらの合併症は、以下の手術でも同様に起こりうるもので、発生率には明らかな差はありません。

腹腔鏡手術

臍の下に大きな傷ができる開放手術に対し、1cm~1.5cmの傷4~5か所で可能な手術です。それらの小さな傷から腹腔鏡という棒状のカメラと、長い鉗子を用いて前立腺を取り除きます。
開放手術よりも出血量が少なく、入院期間も短い手術ですが、高い技術を要することから、この手術を行う病院は多くありません。経験を多く積んでいる病院であれば、解放手術よりも患者にとって負担の少ない手術となるでしょう。

ロボット支援下手術

ダヴィンチという手術用ロボットを用いた手術です。ロボットが自動で手術をするわけではなく、医師がロボットを操縦して手術を行います。1~1.5cmの傷5か所で行うことができる手術です。医師はロボットの操縦装置のディスプレイから立体的な映像を見ることができ、複数の関節を持つロボットのアームを思うように動かすことができます。より繊細な操作ができ、習得が腹腔鏡手術に比べ容易とされています。
ただし、非常に高価なロボットであり、どこの病院でもできる手術ではありません。

内視鏡下ミニマム創手術

4~7cm程度の小さな傷で手術を行います。傷が小さい分、開放手術のようにお腹の中がしっかり見えません。そこを補うのが腹腔鏡であり、小さな傷のため死角となる部分をしっかり見ながら手術を行います。
開放手術よりも難易度は高いですが、患者さんの負担が少ない手術です。

手術後のリスク ― 合併症が起こる可能性はある?

術後の合併症として、一番多いのは尿漏れです。カテーテルを取り除いた直後は尿意を感じられず、排尿のコントロールが困難になります。くしゃみなどの動作で少量の失禁が起こるため尿パッドを使用することになりますが、大半は術後1~3ヵ月で改善するといわれています。ただ、尿のトラブルが数年続く場合は服薬での対応が必要になります。

また、勃起障害も術後の合併例が多い症状の一つです。
前立腺の近くには勃起に関わる神経や血管が束で存在するため、まったく傷つけずに手術を行うのは高度な技術が必要です。一時的なもので済む場合もありますが、神経を損傷した場合での勃起不全の治療法は限られてくるため、専門機関での治療が必要になることもあります。

前立腺がんの手術後の再発率について

前立腺がんが5年以内に再発する可能性は20~30%、10年以内に再発する可能性は30~50%程度です。前立腺がんの再発は、術後3か月ごとに採血を行うことで判断します。仮に再発した場合でもホルモン治療などの治療手段があり、死に至る可能性は上記の数字よりも更に低くなるといわれています。

前立腺がんの治療 ― 手術以外の治療法とは!?

前立腺がんは、進行が遅く身体に大きな影響を及ぼすことは少ないと考えられています。転移がなければ、完治を目指す手術治療や放射線療法などの治療が可能であり、早期であれば治療の他の選択肢もあります。また、PSA監視療法やホルモン療法、化学療法、緩和医療など、完治ではなく進行を抑える治療を選ぶことができます。

一方で、転移した場合に完治が難しくなり、ホルモン療法や化学療法でがんの進行を抑える治療を行います。がんや身体の状態、年齢、家族のサポートなど、様々な条件をもとに治療方法が選ばれますが、患者の意志が第一優先となります。

おわりに:術後の合併症を考慮した治療の選択を

前立腺がんには、様々な治療法があります。一方で、尿漏れや勃起不全などの合併症にも注意しなければなりません。個人の状況に合わせて、適切な治療法を選びましょう。

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