記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/2/9
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
細菌感染が原因でない膀胱炎に間質性膀胱炎があります。発症原因は不明であり、進行すると膀胱に強い痛みを感じるようになることもあります。この記事では、間質性膀胱炎の症状や治療について解説しています。
膀胱炎とは、膀胱の炎症によって頻尿、尿道の違和感、痛み、急に尿意を感じて我慢できない、などを発症する病気です。通常、膀胱炎は細菌感染が原因のことが多く大半は抗菌薬で治ります。しかし、間質性膀胱炎は、細菌が原因ではないため抗菌薬は効きません。
間質性膀胱炎はハンナ型と非ハンナ型の2つに分けられます。ハンナ型は膀胱にハンナ病変と呼ばれる異常がみられるものであり、ハンナ型間質性膀胱炎は、難病に指定されています。
間質性膀胱炎の原因は不明ですが、膀胱粘膜の機能障害や尿の中の毒性物質、免疫系の異常などと考えられており、中年以降の女性に多いといわれています。
間質性膀胱炎の症状としては、軽度の場合は、トイレが近かったり、尿がたまると膀胱に違和感を感じたりという程度です。しかし症状が重くなると、1時間に何回もトイレに行くような頻尿や、膀胱に強い痛みを感じたり、尿道や下腹部全体に痛みを感じるようになります。ひどいときには通常の日常生活が送れなくなってしまうこともあり、精神的な負担も増大します。
症状をやわらげる治療はありますが、完治は困難で再発することが多いといわれています。そのため、一時的に症状が治まった場合でも、経過観察を続けなければなりません。膀胱の炎症が進んで、膀胱が固くて小さくなり強い痛みが継続して起こるようになってしまうと、膀胱を摘出しなければいけなくなってしまうこともあります。
上記で説明したように、間質性膀胱炎は完治が難しい病気ですが、症状を改善することは可能です。
「食事コントロール」「ストレス軽減、骨盤底筋の運動、膀胱トレーニング」「薬」「手術」の4つを中心に治療が進められます。
・食事のコントロール
香辛料やカリウムは膀胱を刺激するので控え、喫煙や飲酒もやめるようにしましょう。
・ストレス軽減、骨盤底筋の運動、膀胱トレーニング
骨盤底筋とは、骨盤底を構成する筋肉で、排便や排尿をコントロールする役割を持っています。骨盤底筋を鍛えることは症状の緩和につながります。膀胱トレーニングは決まったスケジュール通りに排尿するトレーニング手法です。医師と一緒に2~3時間毎に排尿するようなスケジュールを立てましょう。
リラックスや深呼吸によって尿意を我慢し、決まったタイミングで排尿できるようにします。尿意が我慢できるようになってきたら、徐々に排尿間隔を伸ばしていきます。
・薬による治療
痛みを軽減するために鎮痛薬、膀胱の緊張を軽減するために抗うつ薬、急に感じる我慢できない尿意を和らげるために抗ヒスタミン薬を投与します。
・手術
他の治療法で効果が現れない場合には、膀胱全摘術や尿路変更術などの手術を行います。
間質性膀胱炎は、原因が明確に解明されていません。そのため、完治させる治療法が確立されておらず、症状が重くなると日常生活に支障が出る場合もあります。ただし、適切な治療で症状を緩和することはできます。重度の頻尿や排尿時の痛みを感じた場合には、早めに病院を受診しましょう。